映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

会社員バンドマンが綴る、映画と音楽のブログです。過去の名作から、新作まで綴っていこうと思います。音楽についても書くかもしれません。

「デッドプール」を観た

デッドプール」を観た。

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監督:ティム・ミラー

日本公開:2016年

 

主演はライアン・レイノルズ。マーベルコミックのアメコミ原作で、R15作品という前情報だけで鑑賞。もちろん原作は読んだ事が無いし、どんなキャラクターなのかの前知識もほぼ無かったので、映画だけの素直な感想をネタバレ無しで書いていきたいと思う。日本以外の120ヶ国では既に公開されていて、本年度興行NO.1の大ヒット。観客からの評価もかなり高い。僕の鑑賞後の感想は、「最高。あと2回は観たい。」

 

感想

この映画をカテゴライズするなら、やはり「ヒーローもの」なのだろう。だが、正確に言えば「従来のヒーローものを意識した上で、徹底的にその特徴を笑い飛ばしたヒーローもの」だ。よって、主人公の行動理念も考え方も、普通のヒーローとはあえて真逆に作ってあると思う。

 

いわゆる「ヒーローもの映画」で重要なのは、主人公は「何故戦うのか?」と「誰と戦うのか?」の設定である。ここに観客を感情移入させないと、ヒーローが負けそうになろうが大逆転しようが、観ている方は「どうでもいいよ」となってしまう。だが最近のヒーロー映画は、この戦う動機付けに相当苦労している気がする。基本的には世の中に悪い奴がいてそいつを倒さないと大変な事態に陥るから、ヒーローが頑張って倒すという基本路線を、乱立する同じジャンルの中でどうやって既視感無くバリエーション豊かに描く事が出来るか?が、ヒーロー映画のポイントなのだ。

 

近作だと「シビル・ウォー」などは、それをフレッシュに観せた良い例だろう。ヒーロー達がパワーのインフレを起こしてしまって、彼らに匹敵する敵を作り辛いという状況を味方同士で戦わないといけない事態にして、うまくマンネリズムを回避していた。作品のトーンが画一的なのも問題だと思う。最近はバットマンもスーパーマンもアイアンマンもキャプテンアメリカも、みんな難しい顔をして、苦悩して落ち込んで嘆いて、辛気臭い事この上無い。特に「ダークナイト」以降のヒーロー物は、総じてこの傾向が強いと思う。それを意識したかの様な「シビル・ウォー」におけるスパイダーマンが担う清涼感は素晴らしかった。(あ、アントマンも良かったです)

 

さて、そこに「デッドプール」が現れた訳である。至極簡単に、そして乱暴に言い切ってしまえば、これは近年のヒーロー映画に対するアンチテーゼの様な作品だ。いわば揺り戻しである。どんなに悲惨な目にあっても、デッドプールは冗談や笑いを忘れない。本当はもっと悩んだり苦しんだりするのが定石の場面でも、バーテンダーの友人(彼、最高!)はそんな甘えを許してくれないし、主人公も辛い現実をすんなり受け入れる。そして観客は、そんな2人のやり取りに爆笑するのだ。

 

デッドプールは敵をおちょくりながら、どんどん状況を切り開いていく。彼が戦う理由は「彼女への愛」と「復讐」の為だけだ。世界の平和や他人の為の自己犠牲など、これっぽっちもない。だが、劇中に何度も「ヒーロー」というセリフが出てくる。これは「この映画は普通のヒーローものと違うから、大いに笑ってね」というサインである。この映画、実は非常にメタ的な構造を持っていると思う。

 

さらに、いわゆる「映画ネタ」が山ほど出てくるのもツボだ。詳しくは書かないが、劇場でこんなに声を上げて笑ったのは久しぶり。多くの映画を観ている方は、さらに楽しめる事請け合いである。エンドクレジットが始まっても席を立たない方が良い。本当に最後の最後まで、サービス精神旺盛で楽しませてくれる映画である。

 

という訳で、個人的には大満足の作品であった。R15+ならではのシーンもあるが、大人であれば笑える範囲かと。更に映画好きなら100%楽しめる作品だと思う。ワム!の「ケアレスウィスパー」を久しぶりに聴けた事も含めて、最高の娯楽映画。洒落の分かる大人同士で、ビールでも飲みながら観るには最適ではないだろうか。