映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

会社員バンドマンが綴る、映画と音楽のブログです。過去の名作から、新作まで綴っていこうと思います。音楽についても書くかもしれません。

「10 クローバーフィールド・レーン」を観た

10 クローバーフィールド・レーン」を観た。

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監督:ダン・トラクテンバーグ

日本公開:2016年

 

さて、困った。ほぼ褒めるところが無い。映画を観て、久しぶりにこんな気持ちになってしまった。まず、はじめに断っておくと、2008年公開の「クローバー・フィールド」はかなり好きな作品である。いわゆるファウンドフッテージものと言われる一人称視点でストーリーが進む作品で、ビデオカメラを通したこの世の終わりかと思う映像の数々に興奮したものだ。

 

元彼女との関係を前半にしっかり描いていたので、危険を冒す主人公の行動理由にも説得力を持たせていたし、ゾンビジャンルの特徴である感染という要素を取り入れて、謎の巨大怪獣という興味だけでは継続出来ない緊張感をしっかり保っていた。しかも、上映時間は90分を切るというスマートさ。先日も観返した所だが、やはり名作だと思う。

 

という前提での今作である。公開直後なので、ネタバレ無しで感想を。

 

感想

まずハッキリ言えることは、これはあの名作「クローバー・フィールド」の続編では無い。ストーリーもコンセプトも志も何一つとして、受け継いではいない。製作にJ.J.エイブラムスの名前があるが、正直どれ位この作品に関与したのか、怪しいものだ。彼はスターウォーズスタートレックのSF二大看板で、さぞ忙しい毎日なのだろう。

 

という訳で、この作品への最大の不満はタイトルだ。このタイトルを見て、僕を含めた大多数の人が感じる(あのクローバー・フィールドの続編か!これは観たい)という期待を大きくハズしてくれたという罪は大きい。

 

映画のタイトルとは大事なものだ。「ダイ・ハード」というタイトルで、マクレーン刑事が出てこないと観客は怒るだろう。タイトルから観客が想像して期待するものをしっかり観せながら、その上を行く裏切りやサプライズが用意されている作品が優れたシリーズを作っていくのだと思う。この「クローバー・フィールド」というのは、「通り/道路」の名前でそれ自体に意味は無いという設定だが、観客にとっては映画タイトルとしてしっかり意味があるのである。

 

そういう意味では、今作はハッキリ落第点である。この映画は大きく二部構成を採っている。だが、その割合がとてもバランスが悪く、やはり製作者はこの作品を観に来る観客が何を期待しているのかが分かっていない。

 

因みに第一部は密室劇である。しかも、これが大層良くない。キャラクターの感情や背景が分かりづらく、何故今そのセリフ?何故その行動?のオンパレードなのだ。よって、観ている方は段々と真面目に観ているのがアホらしくなる。ガスマスクの件など、思わず「えっ?ジョン・グッドマンのおじさんは、あんなに空気感染を警戒してたけど、それ、ガ、ガムテじゃな・・・!?」などとツッコミどころだらけ。まるでセンスの無いM・ナイト・シャマラン作品の劣化版を観ている気分になる(ちなみにシャマランはセンスあると思う)

 

伏線の為のキャラクター設定も目立ち、しかもすぐに分かりやすく回収されるので、とにかくオチも含めて全てが薄い。音楽も緊迫感のある喧しい音楽が終始流れていて、メリハリも無く演出が終始モタモタ。

 

とにかく、この映画を2016年の今観る時代性や必然性が薄い、ある意味で問題作であった。完全にB級作品と割り切って観れば、密室サスペンスとしては楽しめるかもしれない。ただ、出来ればこの作品の公開規模で、是非「エクス・マキナ」を拡大公開してほしいものである。いつも劇場が満席で、僕はまだ観れていない。大変悔しい。

 

本作の監督は長編初監督らしいが、映画はどんな作品を観ても一律同じ料金なのである。この映画と「デッドプール」が同じ料金なら、今観るべきは後者だろう。J.J.エイブラムスさん、この映画期待してたのになぁ。