映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

会社員バンドマンが綴る、映画と音楽のブログです。過去の名作から、新作まで綴っていこうと思います。音楽についても書くかもしれません。

「ファインディング・ドリー」を観た

ファインディング・ドリー」を観た。

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監督:アンドリュー・スタントン

日本公開:2016年

 

ピクサーの新作を映画館で観たのは久しぶりだ。確か「メリダとおそろしの森」が最後だったような気がする。今回はあの名作「ウォーリー」を監督したアンドリュー・スタントンの作品という事もあるし、「ファインディング・ニモ」が割と好きだった、というふんわりした理由からレイトショーで鑑賞。

 

あらすじ

カクレクマノミのマーリンがドリーと共に息子のニモを人間の世界から救出した冒険から1年後。3匹は平穏な日々を過ごしていたが、ある晩、ドリーは忘れていた両親との思い出を夢に見る。昔のことはおろか、ついさっき起きたことも忘れてしまう忘れん坊のドリーだが、この夢をきっかけに忘れていたはずの両親を探すことを決意。「カリフォルニア州モロ・ベイの宝石」というキーワードを唯一の手がりにマーリン、ニモと共に再び冒険の旅に出る。

 

感想 

この映画、全体的にはコメディタッチだが、意外と「大人の後味」を感じる。主題歌で使われる「アンフォゲッタブル」という曲はナット・キングコールが歌うジャズのスタンダードナンバーだし、ネタバレはしないが劇中の後半ハイライトでかかる曲も超有名なジャズナンバーだ。「アンフォゲッタブル」はドリーの何でも忘れてしまう性質と、映画のテーマでもある「それでも本当に大事な事は忘れない」というダブルミーニングからの選曲であろう。この選曲の様に映画の随所に、大人への目配せを感じる作品である。

 

この映画の根底にあるのは、ハンディキャップを背負って生きる人への応援だと思う。記憶障害と言える程に、物事を忘れてしまうドリー。だが、そんな彼女も持ち前の前向きな性格と柔軟な発想力で、どんな状況でも決して諦めない。何とか様々な困難に打ち勝って行く。そして、それにポジティブな影響を受けた仲間達がいつも側にいてくれて大事な時にドリーを救ってくれる。

 

前作の「ニモ」もヒレに障害を持つ子供と、それを過保護な程に心配する親の話だったが、例えハンディキャップを持っていても、親が子供を愛していれば、必ず子供は立派に育って行くし、困難を乗り越える力を持っている事がシリーズを通して繰り返し描かれる。ドリーが究極のピンチの時、果たして「何に」救われるのか?この映画のテーマがそこにある。

 

明らかに映画の外見は、魅力的なキャラクター達が繰り広げるコメディアニメ映画なのだが、上記の作品全体に流れるメッセージが、鑑賞後の「大人の後味」を生んでいるし、作り手もかなり意識してそれを観客に伝えている気がする。

 

むしろこの映画の弱点は、アクションにあると思う。正直言って余りに無理があると感じるシーンが多い。あるキャラクターが関連するほぼ全てのシーンは荒唐無稽過ぎるし都合が良過ぎて、全くハラハラしない。流石にそれは無いだろうというレベルでリアリティが無い為、緊張感を削いでしまっているのだ。ただ、映像的には面白いシーンになっているので、子供たちにはこれ位の方が楽しめるのかもしれないが。

 

この映画は観る人によって評価が大きく分かれる気がする。作品の根底に流れるテーマと、キャラクター達が醸し出すコメディ色、更にアクションシーンの破天荒さがそれぞれバラバラの方向性である為、全体的な統一感に欠ける。大人も子供も楽しめるピクサー映画としてのバランスを保った結果だとは思うが、ちょっと欲張り過ぎたかなという感想だ。むしろ、あの名作「ウォーリー」位に大人向きに振り切っても面白かったと思うが、「ニモ」の続編ではちと厳しいか。

 

だが流石のピクサークオリティには達しているし、当然全く飽きずに楽しめる映画にはなっている。 夏休みに親子で観る映画としては十分楽しめると思う。

 

ちなみに、僕は同時上映の短編である「ひな鳥の冒険」にピクサーの、いやCGアニメーション全体の将来性を強く感じた。とてつもない技術力と演出力だ。あえてだと思うが「ドリー」とは逆の「リアル方向」で、海の波や砂の表現をしているのだが、キャラクターはしっかりデフォルメされていてすこぶる可愛い。これが見事にマッチしていて、同じ世界観の中で両立している。この方向性で、しっかり長編が観たいと思った。こちらの作品も必見である。