映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

会社員バンドマンが綴る、映画と音楽のブログです。過去の名作から、新作まで綴っていこうと思います。音楽についても書くかもしれません。

「グリーン・インフェルノ」を観た

グリーン・インフェルノ」を観た。

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監督:イーライ・ロス

日本公開:2015年

 

「ホステル」「キャビン・フィーバー」などホラー作品を多く手掛ける変態監督イーライ・ロスの食人映画「グリーン・インフェルノ」を遂に鑑賞。80年代前半に「食人族」というイタリア産エクスプロイテーション作品の、あのあまりに有名な人間串刺し広告(本当は木を咥えて椅子に座ってるだけ)をたまたま観てしまい、しばらくトラウマになったのも懐かしい思い出だ。(興味のある方は検索してみてください)今回の感想はネタバレで。

 

あらすじ

大学の講義にて、未開地では未だに女性の割礼が行われていることを知り、憤るジャスティン。彼女の父親国連弁護士で、問題意識の高い彼女の反応をみた学生環境問題サークルは彼女をメンバーに誘う。サークルのカリスマ的なリーダーであるアレハンドロに共感したジャスティンは、アマゾン奥地で絶滅に瀕しているヤハ族を森林伐採を進めるペルーの企業から助ける計画に参加し、飛行機で現地に向かう。

 

彼らの作戦は企業が行っている行為をインターネットで全世界に動画配信する事で、動画視聴者の賛同を得て、それを抑止しようという内容だった。だが、実際には企業に同行している武装集団に銃を突きつけられ、生命の危険を感じる羽目になるジャスティン。その模様を撮影するアレハンドロ。アレハンドロはジャスティンの父が国連に勤めていることを効果的に利用する為、あえて危険な目に合わせる様に彼女を嵌めたのだ。その手段を選ばないやり方にジャスティンは憤慨するが、結果的に動画は世界に配信され評価を得る事で、彼らの目的は達成される。喜ぶメンバーたち。

 

だがその喜びも束の間、帰りに彼らを乗せた飛行機が墜落する。何人かの犠牲者を出しながらも、ジャングルの奥地に不時着する一同。そこに現れたのはジャスティン達が救おうとしたヤハ族であった。そのまま、ヤハ族に拉致された一同は檻に入れられ、自由をはく奪されてしまう。恐怖に怯えるメンバー。そんな中、皆の前でメンバーの一人が目を抉られ、舌を切られて、手足を切断された上に殺される。更にヤハ族は人肉を食べる習慣のある種族であり、死体を淡々と料理していく。そして、その様を見せられるメンバー。彼らはヤハ族に料理される前に、無事に逃げる事が出来るのか?

 

感想 

いわばイーライ・ロス監督が得意な悪趣味ホラー映画である。18禁映画ではあるが、実は思ったよりもゴア度は大したことない。肝心のシーンはカットも早いし、そこまで心理的に辛くなるような痛いシーンもない。正直、「ソウ」シリーズの方が余程ゴア度は高いと思う。だが、全編に亘る「緊張感」と「悪ふざけ感」のブレンドがこの映画の魅力だ。

 

お約束の様に、次々と言葉の通じないヤハ族の犠牲になっていくメンバー達。だが、この映画の特徴はヤハ族に「悪意」や「復讐」などといった感情が一切ない事で、通常のホラー映画によくある狂気による気持ち悪さや後味の悪さがあまり無い事である。

 

彼らは素直に「食べる為」だけに人間を殺す。その様は、まるで料理番組のように下ごしらえの手順も含めて淡々と描かれる。そして、それを彼らはまるでホームパーティでも行っている様に仲良く楽しそうに食べるのだ。それが何故かホラー映画っぽく無い、カラッとしたこの映画特有の空気を作っている。

 

ただ、ヤハ族から逃げられるか否かのサスペンスフルな展開はしっかり演出されており、それなりにドキドキする。また死体にマリファナを仕込んで、それを食べたヤハ族がラリってしまうシーンなど、不謹慎な笑いどころも随所にある。

 

ネタバレすると、最後は1人逃げ延びたジャスティンは、本来糾弾しに来た筈のペルーの企業に助けられ逃げられるという皮肉も含めて、ストーリーの骨格は割としっかり作られているし、テンポも良いので退屈はしない。

 

どうやら劇中に登場するヤハ族を演じたカラナヤク族というのは、映画という存在すら知らない本物の先住民の様で、イーライ・ロス監督は撮影に入る前に「食人族」を見せてイメージを伝えたらしい。なるほど、彼らの体格や風体がリアルで独特なのも頷ける。

 

この映画は学生環境団体の驕り高ぶりを非難しているとか、文化人への痛烈な社会風刺だとか、色々な深読みは出来るのだが、僕は正直そこまでのメッセージ性は無いと感じた。逆に食人族というコンセプトを一番活かせるシチュエーションは?という発想が先で、どういう人間が現地に行く必然があるのか、更に犠牲になると盛り上がるのかというシナリオ上の理由が先にあったのではないだろうか。ホラー映画は観客を「怖がらせる事」が最重要課題で、重厚なテーマ性は必要無いと個人的には思う。

 

という事で、この映画はイーライ・ロス監督の世界観が好きで、ホラー映画の中でもちょっと変わった作品が観たい方にオススメだ。逆にこの嗜好に合わない方は、全く観なくても良い作品だと言える。お好みに合わせてどうぞ。