映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

会社員バンドマンが綴る、映画と音楽のブログです。過去の名作から、新作まで綴っていこうと思います。音楽についても書くかもしれません。

「スーサイド・スクワッド」を観た

スーサイド・スクワッド」を観た。

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監督:デヴィッド・エアー

日本公開:2016年

 

今秋期待の超大作「スーサイド・スクワッド」を鑑賞したので感想を。

 

感想

結論から言うと、スクリーンを観ながら(これが本当にデヴィッド・エアー監督の新作なのか?)という気持ちが消えない程の駄作であった。デヴィッド・エアー監督といえば「フェイクシティ」、名作「エンド・オブ・ウォッチ」、前作「フューリー」といった警察内部をリアルに描く作品や、銃や戦車といったミリタリー関連などを丹念に拘って表現する監督だ。

 

過去作は、そういった警察や軍隊の独特の空気感を上手くスクリーンに投影し、質の高い良作を送り出していた。特に「エンド・オブ・ウォッチ」は、本当にアメリカの警察官ってこういう生活をしてるんだろうなと思う位、リアリティを追求したタッチで、数ある警察バディもの作品の中でも、演出/ストーリー共に特にオススメ出来る名作だった。主演のジェイク・ギレンホールマイケル・ペーニャの熱演も素晴らしい。

 

今作「スーサイド・スクワッド」は、そんなデヴィッド・エアー監督の資質に合っていない作品だったのだろう。DCコミックスの世界観を受け継いでおり、「バットマンVSスーパーマン」の後という時系列のようだが、個人的にはあのQueenの「Bohemian Rhapsody」がかかる最高の予告編から、観客が期待してる内容を完全に裏切っている作品だと思った。

 

せっかく今作は「悪人」がチームを組んで活躍するという設定なのだから、善人もしくは普通の人が持ってる倫理観を無視して、目的の為にバンバン悪事を働きながら任務を遂行していくという、ある意味ブラックコメディ的な内容にしないと、この設定にしている意味が無い。こういう映画こそR15+位にして、ある程度振り切った表現をしないと他のアクション映画と差別化出来ないからだ。

 

ところが悪党と言われている彼らは、劇中では超いい奴なのである。お互いを気遣い合い、心配しあう。しかも中途半端に娘想いだったり過去のトラウマに捕らわれていたりと、なんか皆クヨクヨメソメソしていて、悪党として全くキャラ立ちしていないのだ。且つ、彼らは脅されてイヤイヤ任務を果たしているので、極めて受動的にしか動かない。その姿が全くカッコ良くないという主人公としては致命的な駄目っぷり。せっかくの設定が勿体無さ過ぎる。

 

ただ、そんな中でも、やはり突出して良かったのはマーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインだ。彼女だけは理屈の通じない悪という雰囲気が出ていて良かったし、何よりルックスがキャッチーで華がある。ただ行動原理が、基本的に愛するジョーカーの為なのでちょっと底が浅く見えるのは頂けない。更に今作のジョーカーが全く魅力的では無い為に、余計にそう感じてしまう。そう考えると「ダークナイト」のヒース・レジャーは「本当の狂気」を感じさせるすごい演技であった。

 

立ち向かう敵も何だか分からない悪霊のようなヤツで、普通に考えれば勝てる訳がないのだが、何故か爆弾は効いたり、最後もボスキャラのクセにそれは油断しすぎだろという勝ち方だったりで、全然カタルシスが無い。味方の勝利にロジックが無さ過ぎて、観ていてアホらしくなるパターンなのだ。

 

良かったのは、音楽位だろうか。と言ってもロックファン向けに、ローリングストーンズ「悪魔を憐れむ歌」やホワイトストライプス「セブン・ネイション・アーミー」、エミネムクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルなどが大音量でかかるので、少し気分が上がるというだけの事ではあるが。

 

この設定でデヴィッド・エアー監督という事もあり、事前の期待値が高過ぎたのかもしれないが「バットマンVSスーパーマン」の出来も然り、DCコミックス勢はライバルのマーベル作品に最近大きく差をつけられてしまっている感は否めない。それにしても、この作品もう少し何とかならなかったのだろうか。大衆向けとも言い難いし、喜ぶのはコアなアメコミファンだけかもしれない。せっかくの「悪人チーム」という良い設定が活かしきれていない、つくづく残念な作品である。