映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

会社員バンドマンが綴る、映画と音楽のブログです。過去の名作から、新作まで綴っていこうと思います。音楽についても書くかもしれません。

「リトル・ミス・サンシャイン」を観た

リトル・ミス・サンシャイン」を観た。

f:id:teraniht:20160921080014j:plain

監督:ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス

日本公開:2006年

 

 

久しぶりにブルーレイで再見。やはり、とても素敵なコメディ映画である。全編に渡り名セリフのつるべ打ちで、映画のメッセージもとてもポジティブ。良作である。

 

 

あらすじ(ネタバレ全開)

フーバー家は主婦シェリルと夫リチャード、息子ドウェーン、末娘のオリビア、リチャードの父親であるエドウィン、シェリルの兄でゲイでもあるフランクの6人家族。

 

夫のリチャードは、自ら考案した自己啓発プログラムの出版を夢見ながらも、実現できないでいる悩める中年。息子のドウェーンは、空軍のテストパイロットの試験を受けるために「沈黙の誓い」を立て、家族と会話を隔絶している反抗期真っ盛りの15歳。妹のオリビアはぽっちゃりなのに、美少女コンテストで優勝する事を夢見ている女の子。エドウィンはヘロインの使用が原因で老人ホームから追い出された毒舌の老人。そして、フランクは失恋と仕事のトラブルで自殺未遂を図ったばかりと、各々がそれぞれ問題を抱えている。

 

ストーリーは、自殺未遂から病院を退院し、帰る場所がなくなったシェリルの兄フランクが、フーバー家に転がり込んでくるところから始まる。

 

いつもの噛み合わない会話をしながら、食事中の家族の元に1本の電話が入る。それは以前オリビアが参加した美少女コンテストで、上位の欠員が出てしまい、繰上げとしてオリビアが“リトル・ミス・サンシャイン”と言う美少女コンテストに入選したという電話だった。

 

喜びの余り大騒ぎのオリビア。ただそのコンテストの会場はカリフォルニア州で余りに遠い上に、飛行機で行くお金もない。更に退院したばかりの兄フランクを置いて行けないという事情から、家族は黄色いボロボロのワゴン車に乗って、一路会場があるカリフォルニアに向かうことになる。

 

その道中、家族みんなに様々な問題が降り掛かる。早速車は故障して、後ろから押しながらじゃないとクラッチが入らなくなるし、ゲイのフランクは自殺未遂の原因ともなった元恋人とその彼氏に遭遇し、ショックを受ける。父リチャードは本の出版契約が破棄になってしまうし、挙句には祖父のエドウィンが宿泊先でのヘロインの過剰摂取が原因で、息を引き取るという事態が起こる。

 

突然の悲しみに暮れる家族だが、エドウィンの悲願であった孫のコンテストに間に合わすため、父親のリチャードは一世一代の決断をする。なんと、こっそりワゴン車に遺体を積んで、コンテスト会場に向かうというのだ。

 

そのまた道中、今度は長男ドウェーンが実は色弱だったと判明し、パイロットの夢を断念するハメに。路肩に止めた車中から飛び出し「沈黙の誓い」を破って家族への不満を露にする。無言のオリビアになだめられて、家族は旅を再会するが、コンテストの受け付けリミットまでほとんど時間がない。なんとか車を飛ばして家族は無事に会場に着き、オリビアはコンテストに出場できる事になる。

 

ただ、コンテストに出場する他の女の子達は、子供とは思えない様なメイクやスタイルを披露している美少女たち。余りにオリーブとはレベルが違い過ぎる事に気付いたリチャードとドウェーンは、オリーブに恥をかかせない為に棄権させるべきだと主張する。しかし母シェリルは娘の意見を尊重して、出場させる。他の参加者たちがプロ顔負けの特技を披露していくなか、いよいよオリーブはステージへ上がる。

 

祖父から秘密に習ったダンスを披露するオリーブの姿に、場内は騒然。なんと、それはストリップをモチーフにしたダンスだったのだ。憤怒した主催者はオリーヴのダンスを止めるよう要求するが、家族は最後までパフォーマンスさせたい気持ちから、1人ずつステージに上がってオリーヴと一緒に手を取って踊り始める。終演後、今後のコンテストには出場禁止を命じられるが、家族達の顔には満足感と誇りの入り混じった笑顔があった。そして、家族はまたワゴン車を押しながら、帰路に着くところで、映画は終わる。

 

感想

映画が始まった時は自殺未遂したフランクが最もまともに見える位に、クセモノ揃いで関係が崩れている家庭。特に父親であるリチャードは、「勝ち馬になれ。負け犬になるな。」と口癖の様に家族に伝えるが、父親としての威厳を失っている為、全く説得力が無い。しかも、残念ながら映画冒頭の登場人物達はみんな負け犬なのである。だが、劇中で祖父のエドウィンが孫のオリーブにこう語るシーンがある。

 

「負け犬とは負けるのが怖くて、挑戦しないやつらのことだ。」

 

まさにこの言葉通り、エドウィンが急死してからの家族は様々な障害を乗り越えて、オリーブのミスコン出場という共通の目的の為に力を合わせて挑戦していく。その姿が微笑ましいし涙ぐましい為、観客も一緒になって応援したくなる。

 

ミスコンという表面的な美しさを競う舞台で、勝負には負けた眼鏡でお腹ポッコリのオリーブが、映画を観ている観客には一番輝いて見えたのは、そこまで支えてくれた家族と彼女自身の内面を観ているからだろう。人生において、ミスコンの優勝より価値のあるものを彼女は得たのである。彼らは負け犬では無くなったのだ。

 

クラッチが壊れているからこそ、みんなで押しながら順番にワゴンに乗り込むシーンが、この映画に数回ある。これらのシーンがこの映画の一番大きなポイントだ。このワゴン車とはフーバー家にとって、何を意味しているのか?映画を観終わった観客には、明白だろう。

 

リトル・ミス・サンシャイン」は、人生を少しだけ明るくしてくれる美しい映画だ。こういう作品に出会えると、また新しい映画を観たくなる。