映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

会社員バンドマンが綴る、映画と音楽のブログです。過去の名作から、新作まで綴っていこうと思います。音楽についても書くかもしれません。

「裏切りのサーカス」を観た

裏切りのサーカス」を観た。

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監督:トーマス・アルフレッドソン

日本公開:2012年

 

大変に重厚で静かなスパイ映画だ。そして、滅法面白い。画面の端々に、ストーリーを推進するキーやヒントが次々と現れる為、ちょっとでも気を抜いていると置いていかれる。しかも、それらを決して分かりやすく提示してはくれない為に、常に頭を回転させながら、そしてシーンの意味を読み取りながら鑑賞する必要がある。

 

時系列も画面に映っているキャラクターから、観客が推察して過去なのか現代なのかを判断する必要があるし、更に登場人物の表情や目線から、今彼が何を考えているのか?どう感じているのか?を察しながら観ていかないと、後半「何故、このキャラクターは泣いているんだっけ?」となる。

 

あらすじ

舞台は東西冷戦真っただ中のイギリス。諜報機関MI6(通称:サーカス)とソ連の機関であるKGBが水面下で激しい情報戦を繰り広げている中、度重なる作戦失敗や情報漏えいから、サーカス上層部の中にKGBの二重スパイ(モグラ)が潜んでいるとサーカスのリーダーが睨むところから映画は始まる。果たして、幹部5人の誰がモグラなのか?

 

感想

主演のゲイリー・オールドマンを始め、コリン・ファーストム・ハーディベネディクト・カンバーバッチジョン・ハートとイギリス人俳優の抑制された名演技が楽しめ、一切の手抜きの無い、計算された画面で映画は進行する。特にオープニングのタイトルが表示される辺りは、フォントも含めてとてもスタイリッシュだ。

 

この映画も、あまりストーリーのあらすじを追っても仕方ないだろう。実際に観ないと絶対に良さが伝わらない映画だし、諜報機関という誰も信じられない環境で繰り広げられる、駆け引きと愛憎に身を委ねていると、あっという間に時間が過ぎる。

 

さらにこの作品は最後まで観ると、実は恋愛の要素が強い事が分かる。特に性別を越えた男同士の恋愛がこの映画における、一つの重要なアクセントになっている事は記載しておきたい。途中でインサートされる過去のパーティシーンで、各キャラクターの関係についての伏線が多く描かれているので、要注意だ。

 

そして、特筆すべきはエンディングの切れ味だ。スペインの歌手フリオ・イグレシアスの「La Mer」がBGMで流れる中、セリフは一切ないが画面の中で起こる怒涛の展開がすごい。シャンソンのスタンダード曲にあわせたラストカットに至るまでの編集の流れは、まさに溜め息ものだ。

 

観終わった後に「これが映画だよなぁ」と、思わず呟いてしまう程の名画。この作品には映画作りの天才達と老練の素晴らしい役者が魅せる、映画ならではの魅力が詰まっている。オススメである。