映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

会社員バンドマンが綴る、映画と音楽のブログです。過去の名作から、新作まで綴っていこうと思います。音楽についても書くかもしれません。

「マグニフィセント・セブン」を観た

「マグニフィセント・セブン」を観た。

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監督:アントワン・フークア

日本公開:2017年

 

今作は1960年「荒野の七人」をリメイクした、西部劇である。監督はあの独特の美意識が炸裂していた「イコライザー」のアントワン・フークア。アカデミー受賞作品である「トレーニング・デイ」の監督でもある。今回はネタバレ無しで。

 

あらすじ

金脈を狙うバーソロミュー・ボーグの支配下で、ローズ・クリークの町の人々は絶望的な日々を送っていた。ボーグに夫を目の前で殺されたエマ・カレンは賞金稼ぎのサム(デンゼル・ワシントン)を中心にギャンブラーのジョシュ(クリス・プラット)、流れ者、ナイフの達人など7人のアウトローを復讐のために雇う。町を守るために立ち上がった彼らは、いつしか自分たちの目的が金だけではなくなっていることに気付き、町人たちにも戦い方を教えながらボーグとの戦いに備える。そして、遂にローズ・クリークに運命の日が訪れる。

 

感想

「荒野の七人」という映画は、そもそも黒澤明監督の「七人の侍」を西部劇にリメイクした作品だが、それを更にリメイクしたのが本作である。という事で、ストーリーの大枠はほぼ踏襲していると言って良い。だが当然の如く、アクションシーンは大掛かりに派手になっているし、編集のテンポも早い。いわゆる、きちんと「今風」の西部劇に生まれ変わっているのだ。

 

そして今作の肝は、役者陣だろう。主演のデンゼル・ワシントンを始め、クリス・プラットイーサン・ホークイ・ビョンホンなど有名俳優達が雇われたならず者を演じている。特に主役が黒人であるデンゼル・ワシントンになった事で、「荒野の七人」という正統派の西部劇ではあり得なかった架空的な雰囲気とエンタメ感が出た。西部開拓時代に黒人が銃を持って、酒場で酒を飲むなど実際にはあり得なかっただろうからだ。これはクエンティン・タランティーノ監督の2013年作品「ジャンゴ 繋がれざる者」で主演していたジェイミー・フォックスが成功したからこそのキャスティングかもしれない。

 

またアジア人キャスティングであるイ・ビョンホンも2008年作品「グッド・バッド・ウィアード」という韓国版西部劇があったが、自ら演じていた「悪い奴」という役と衣装やスタイリング含めてそっくりの役作りで、西部劇としては新しい要素を担っていた。ヒロインであるヘイリー・ベネットも良かった。夫を失って気丈に振る舞う強さと、それでもふと現れる弱さを上手く表現していたと思うし、過去作に比べて女性がかなり活躍する本作は、やはり現代的な西部劇だと言えるだろう。

 

今作「マグニフィセント・セブン」の純粋な感想はどうかと言えば、「非常にカッコいい映画」だと思う。西部劇として、観客が観たい画の連続でいちいちキマっている。カメラワークからカット割りまでケレン味たっぷりの演出で、往年の西部劇が醸成してきた良いエキスがしっかり出ていると思う。

 

悪役はトコトンまで悪く、勧善懲悪なストーリーは極めてシンプル。村人が協力しながら、メインキャスト達がラスボスを退治する最後のシーンまでしっかりカタルシスがあるし、アクション映画が好きなら間違いなく楽しめる一作になっていると思う。

 

但し、苦言もある。全体的に「薄味」なのである。デンゼル・ワシントンが他の六人を仲間に引き込む工程は、かなり駆け足で、何故あれだけの交渉で仲間になるのか?が飲み込み辛いし、各人のキャラクターが表面的な描きこみしかされていないので、後半で仲間の為には命も賭けられるという描写に納得感は薄い。またレーティングの問題で仕方ないが、敵は撃たれてもほとんど流血しないし、激しい銃撃戦をしていても命の駆け引きをしている感じはあまり無い。

 

本作はクリント・イーストウッドの1991年作「許されざる者」の様な重厚な西部劇では無く、あくまでエンタメ娯楽作品として、気楽な気持ちで観るのが良い佳作だと思う。最近、西部劇自体がほとんど作られないので、こういった映画は若い観客にも新鮮に感じられるのではないだろうか。