映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

会社員バンドマンが綴る、映画と音楽のブログです。過去の名作から、新作まで綴っていこうと思います。音楽についても書くかもしれません。

「パッセンジャー」を観た

パッセンジャー」を観た。

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監督:モルテン・ティルドゥム

日本公開:2017年

 

ジュラシック・ワールド」のクリス・プラットと「ハンガー・ゲーム」シリーズのジェニファー・ローレンス主演のSFロマンス作品。監督は「イミテーション・ゲーム」のモルテン・ティルドゥム。鑑賞前はかなりSF色の強い映画だと勝手に想像していたが、この作品はSFとは言えないだろう。恋愛映画として観るのが吉である。今回は感想でネタバレしているので、ご注意を。

 

あらすじ

近未来、5,000人を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号は、新しい移住地に向かうべく地球を出発していた。到着までの時間は120年。その間、クルーと乗客は冬眠装置で眠っていた。だが、隕石の衝突をきっかけにして乗客のうちエンジニアのジムだけが、到着まで残り90年の段階でコールドスリープから目覚めてしまう。絶望的な状況を打破しようとするジムだったが、何をやっても状況は改善はしない。そんな時、同じくコールドスリープ状態の乗客にオーロラという女性を見つけ、ジムは恋に落ちる。

 

感想

デートムービーには良い映画だろう。深く考えないで観る分には悪くないのだが、SF映画としてはご都合主義過ぎだし、ツッコミどころだらけ。そして、思ったよりも恋愛映画としての比重が高い。まず120年かけて5,000人を載せて運航する宇宙船が、そんなに簡単に故障してもらっては困るし、たかだか二人でそんなに簡単に原因が判明して修理出来るというのも興ざめである。クリス・プラットコールドスリープから目覚める理由が、クロックタイマーの故障というのも噴飯ものだ。そもそも、コールドスリープが再度出来ないとか、スタッフも全員冬眠していて突発時のリスク回避の方法が全く無いとか、地球への緊急連絡手段が無いとか、バーテンダーのアンドロイドよりも、緊急対応用のアンドロイドを用意しとけよと思ってしまう。

 

またジェニファー・ローレンスは、クリス・プラットによってコールドスリープから目覚めさせられる訳だが、起こしたのがクリス・プラットで本当に良かったと思う。この映画、女性側に選択権が一切無い。よって、どんな男と二人きりにさせられるか分かったものではない為、美男美女のカップルである事の不自然さと違和感が拭えないし、もしスティーブ・ブシェミが起こしていても、ジェニファー・ローレンスはラストの選択をしただろうかといらぬ疑問が湧いてしまう。この映画における二人が恋愛関係に発展するプロセスを見ていても、正直起こす、起こさないの倫理的な観点より、誰に起こされたか?が重要に映り、さながら王子様にキスで起こされた白雪姫を観ている気分になる。クリス・プラットの蘇生後のセリフは、この作品への皮肉かと思ったほどだ。このあたりの事を考え出すと、なんだか暗澹たる気持ちになる。

 

スティーブ・ブシェミ

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それに食料や水、空気、気温など、いわゆる全ての環境が整った中でのサバイバル劇がテーマの映画だが、結果的には愛し合う二人以外の「他者」を排除した「二人だけの世界」を選択する話であり、それが幸せというオチなので、どうしても甘ったれた印象を受ける。実際は二人だけで一生を終えるのはかなり悲惨な筈だし、苦痛を伴うだろう。そんなハッピーエンドな着地では決して無いはずだ。

 

その他、まさかの「蘇生出来ちゃうの?」「なのに病気は治せないの?」とか、山ほど疑問が湧く。だが、この映画にはそんな事をツッコんではいけないのだろう。久しぶりにハリウッドの大作映画でも観るかと、ポップコーン片手に観る分には、映像の美しさ、主演二人のルックス含めて約2時間は楽しめる。だが個人的には、もっと骨太のSF作品を期待していたので大いにガッカリした、というのが正直な感想だ。