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映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」ネタバレ感想&解説

「ゴースト・イン・ザ・シェル」を観た。

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士郎正宗のSF漫画「攻殻機動隊」を、スカーレット・ヨハンソン主演で実写映画化。監督は「スノーホワイト」のルパード・サンダーズという事で、観る前は若干心配したが今作は素晴しかった。「攻殻機動隊」はOVA攻殻機動隊 ARISE」やテレビシリーズ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」など、かなりの作品数がある。だが、僕は劇場公開された押井守監督作「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」と続編「イノセンス」しか観ていない。(そういえば、当時イノセンスジブリ鈴木敏夫氏が宣伝プロデューサーだった。もはや懐かしい。)

 

監督:ルパード・サンダーズ

出演:スカーレット・ヨハンソンジュリエット・ビノシュビートたけし

日本公開:2017年

 

感想&解説

SF映画でこれだけクオリティの高い完成された画面と、世界観が観られればもう大満足である。とにかく安っぽい気の抜けたショットなどワンカットもないし、文句無しに全篇カッコいい。世の中に星の数ほどSF映画が存在する中で、これは凄いことだ。もちろん東洋的な世界観は「ブレードランナー」を彷彿とさせるが、さらに進んだ斬新なデザインの街並みをしっかり観せてくれる為、幸せな気持ちになる。アニメ版「攻殻機動隊」と同じ構図のカットも多々ある為に、従来のファンも意識しているのだろうが、全くの初心者でも問題楽しめる様に作られているし、小難しい設定もほとんどないので安心だ。元々「マトリックス」シリーズは、この攻殻機動隊に強く影響を受けたとウォシャウスキー監督は語っていたが、逆に「マトリックス」をリスペクトしたシーンが本作にあったのは面白かった。

 

また主演のスカーレット・ヨハンソンも素晴らしい。恐らくアニメ版のファンには、あんなにエモーショナルなのは「草薙素子」じゃないと言われそうだが、そこはハリウッドリメイク。これ位、大仰なくらいで丁度良い気がする。あまり全身を義体化したサイボーグには見えないが、都度揺れ動く弱さみたいなものを表現出来ていて、今作にはフィットしていたと思う。正直、ビートたけしの荒巻役は日本語のセリフも含めて、どうかと思ったが。そして、本作にはフランス人女優ジュリエット・ビノシュが出演している。ビノシュといえば、レオス・カラックス監督の「汚れた血」「ポンヌフの恋人」や「イングリッシュ・ペイジェント」などが有名だが、なんだか久しぶりにスクリーンで観た気がする。歳はとったが、あの独特の佇まいは健在で重要な役回りを演じており、嬉しかった。

 

原作や押井守監督のアニメ版が持っていた、機械の身体に宿る意識(ゴースト)とは何か?自分が自分であるという証明とは何なのか?という哲学的な問いの要素は薄まり、もっとSFアクション娯楽作品の傾向が強まった本作は、それ故にかなり取っ付き易くわかり易い映画になっていた。ビジュアル的な魅力も高いし、近年これだけ気合いの入った未来像を観せてくれる作品もなかなか無い。スカーレット・ヨハンソンの美しさも含めて、劇場で観た方が良い作品だろう。

 

恐らくコアな攻殻機動隊ファンには物足りないと思うが、SFアクション映画としては充分に快作になっていたと思う。最後にエンディングでかかる楽曲が素晴らしい。曲として劇場アニメ版である川井憲次が作曲した「謡」にリスペクトを感じたし、とてもセンスの良い楽曲に仕上がっていたと思う。音楽担当はクリント・マンセル。個人的には、是非続編も観たい一作だった。

採点:6.5(10点満点)

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