映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

会社員バンドマンが綴る、映画と音楽のブログです。過去の名作から、新作まで綴っていこうと思います。音楽についても書くかもしれません。

「インビテーション」を観た

「インビテーション」を観た。

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監督:カリン・クサマ

日本公開:2017年

 

シッチェス映画祭という、主にSF/ホラー/サスペンスといったジャンルを中心に扱う、スペインの権威ある映画祭で「最優秀長編映画賞」に輝いたというスリラーサスペンス作品。今年の1月に日本でも公開されていたが、ごく限られた劇場公開だったので当時映画館では観れず、オンデマンドで鑑賞した。今回はネタバレ全開で。

 

あらすじ(ネタバレ全開)

主人公ウィルは、別れた元妻エデンから晩餐会への招待状を受け取り、2年ぶりの再会の為、現在の恋人キラと車を走らせていた。招待された、過去に自らが住んでいた館に着くとかつての仲間が集い、元妻エデンは新しい恋人デイビッドと共に、人が変わったかのように明るく振る舞っていた。高級ワインを飲みながら、語り合う招待客たち。その中には、デイビッドの友人というサディとプルートという新メンバーもいた。

 

エデンはデイビッドとともに、メキシコでとある団体に入り、ジョセフ博士なる人物が率いるその団体と共に2年間を過ごしていたと告げる。その団体についての動画を見させられると、そこには末期癌患者が亡くなる瞬間が記録されていた。それを見た晩餐会の出席者たちは「カルト集団への勧誘か?」などと冗談を口にするが、デイビッドは団体のメンバーはロスにも何千人といると言い、場は不穏な空気に包まれる。そもそもウィルとエデンには1人息子がいたが、その息子は今回の晩餐会のメンバーが参加していた、かつての誕生日会の日、不慮の事故で亡くなっていたのだ。その死を乗り越えることができず、2人は離婚してしまっていた。

 

今回の晩餐会とデイビッドとエデンの言動について、懐疑的なウィル。気を落ち着ける為、息子のベッドルームで過去を思い出していると、窓の外でデイビッドがなにやら赤いランタンを高い場所に吊るしているのを見かける。そんな時、ウィルはデイビッドが先ほど、みんなに団体の動画を見せたPCを発見し、続きを再生する。そこには「怖がらないでいい。君たちは選ばれた人間なのだ」などという意味不明なジョセフ博士のメッセージが残っていた。

 

そんな時、「もう一度、乾杯しよう」とデイビッドはウィルをテーブルに呼ぶ。出席者にグラスが配られ、デイビッドは「よりよい世界に」などと言って乾杯しようとするが、ウィルは先ほどのジョセフ博士のメッセージとデイビッドたちの不穏な様子から、他の出席者たちのグラスを叩き割りながら、中身を飲んではいけないと忠告する。だが、一瞬遅くメンバーの中から死者が出てしまう。デイビッドとエデン、そして教団メンバーのサディとプルートは晩餐会で毒入りのワインを出席者に振る舞い、自らを含めて全員を毒殺しようとしていたのだ。毒殺が失敗すると、デイビッド達は拳銃で他メンバーを殺害しようとする。

 

招待客の協力もあり、なんとか反撃しながら、ウィルと恋人キラはデイビッドや他の団体メンバーを撃退し生き延びる事が出来る。満身創痍で館の外に出ると、庭に先ほどデイビッドが飾った赤いランタンが灯っているのが目に入るが、そのランタンは見渡す限りの家の庭に飾られていた。カルト教団の魔の手は、同時多発的に様々な場所に及んでいた事が示唆され、映画は終わる。

 

感想

 「雪の山荘」に代表される、閉鎖空間に何人かのメンバーが集まるというシチュエーションの作品は、そこで「何かが起こる」という事は観客には分かりきっているので、どれだけ斬新で予想を超えた事件が起こるのか?が最大の関心となる。今作は閉鎖空間では無いが、ご丁寧に「ケータイの電波が入らない家である」という設定を前半に設けている為、否が応でも期待は高まる。この作品、中盤までのジリジリとした雰囲気作りは悪くない。何かとんでもない事が起こりそうな空気感が漂い、ある中盤のちょっとしたミスリードの演出も含めて、オチの期待が高まる作りになっている。

 

だが、肝心要のオチがあまりに弱い。明らかに首謀者っぽいデイビッドがそのまま悪玉で、しかもカルト教団に操られていて全員を殺そうとしてました、なんて「そのまんま」と言って良いラストだろう。これには本当にガッカリしてしまった。赤いランタンの「同時多発」的な終焉感も、それ程のインパクトは無い。逆に良かったと感じていた前半の勿体ぶった演出が、ラストの「なーんだ感」に繋がっているという矛盾を孕んだ作品だ。

 

最後に助かるのが、黒人とゲイと主人公という「ザ・ハリウッド」な人選も含めて、こういうテーマのジャンルムービーだったら、もう少し冒険しても良いんじゃないかなと思わずにはいられない、ちょっと残念な作品だった。ただ、映画としての演出はしっかり作られていた為、ラストまでは「この映画、どう展開するのだろう?」という興味は、持続出来ている。ここがシッチェス映画祭の評価のポイントだったのかもしれない。本作のカリン・クサマという監督はアメリカの女性監督という事で、過去には「イーオン・フラックス」や「ジェニファーズ・ボディ」を撮ったベテランである。残念ながら今のところ快作は無いが、次作はどうだろうか。