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映画「ライフ」ネタバレ感想&解説

「ライフ」を観た。

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ジェイク・ギレンホールレベッカ・ファーガソンライアン・レイノルズ錚々たるメンバーが出演している、SFパニックホラー。日本人では真田広之も好演している。予告編を観た限り「エイリアンみたいだなー」という当たり前の感想しか出なかったが、実際に観てみたら、それだけに留まらない良作であった。

 

監督:ダニエル・エスピノーサ

出演:ジェイク・ギレンホールレベッカ・ファーガソンライアン・レイノルズ

日本公開:2017年

 

感想&解説

宇宙船の中で、火星の未知なる生命体に襲われて乗組員たちが一人、また一人と犠牲になっていく。そして地球に生命体を持ち帰る訳にはいかないため、なんとか閉鎖空間である宇宙船の中で生命体を倒す術を見つけ、時には自らの命を犠牲にしながら、人類が命がけ未知の生命体と戦う、というストーリーである。まぁ身もふたもない言い方をしてしまえばやはり「エイリアン」の、特に一作目の踏襲であると言えるだろう。

 

1979年公開、リドリー・スコット監督の「エイリアン」は、H・R・ギーガーの強烈なエイリアンのデザインと、ダン・オバノンの先の読めない脚本、そしてエイリアンの全景をなかなか見せない事により、想像力で観客の恐怖を煽るというリドリー・スコットの演出手腕が奇跡的に邂逅した、SFホラーの金字塔的作品であった。2作目はジェームズ・キャメロンがアクション映画化、3作目はデヴィッド・フィンチャーがアート映画化したりと様々な変容を経ているが、本家リドリー・スコットが2012年に「プロメテウス」という大傑作を発表し、現在はエイリアンシリーズを新たに更新し始めている。ちなみに2017年公開の「エイリアン・コヴェナント」は「プロメテウス」の続編であり、そのポスターアートワークは、旧作ファンこそ必見の素晴らしいものになっている。

 

かなり話が逸れてしまったが、本作「ライフ」は「エイリアン」から、アート性とストーリー性を引いて、娯楽性を足した作品だと言えるかもしれない。正直この映画、とても面白い。映画としての設定やおおよそのストーリー運びが既視感バリバリなのは、否定しない。だが、この作品には観客を楽しませようという作り手の創意工夫が感じられる。

 

この手の作品に、観客がもっとも求める要素としては「映画を観ている間、どうやってドキドキさせてもらえるのか?」だろう。そして、この作品はこれがとても上手くいっている。少しネタバレになるが、最初の犠牲者であるライアン・レイノルズの殺され方など(不謹慎な言い方だが)とても楽しい。緩急の間がしっかりしていて「ヤバっ、頑張れ!、あーダメかー、んっ?どうなる?、うわーこうなるか」という様に、キャラクターの死に様にしっかり没頭できるのだ。ホラー映画で、これが出来ていれば十分に及第点である。しかも最初の犠牲者が、今をときめくライアン・レイノルズというのも、洒落が効いていて良い。

 

とにかく「今までと違うシーンを作ろう」という、作り手の意志が各所に感じられてフレッシュなシーンが多く、二時間の間飽きさせない。後半は正直失速するし、オチもある程度映画を観ている方だと「あるカット」から展開が読めてしまうだろうが、それもまた楽しい。今、これくらいシンプルに観客を楽しませる映画も少なくなってきた気がするし、エンドクレジットの表現方法からも、作り手は70年代の「古き良きSFホラー」を目指して作っている気がして、映画ファンとして素直に嬉しくなった。

 

 後世に残る傑作とはとても言えないが、この夏、涼しい映画館で大人がドキドキしながら楽しむには、最適の娯楽作品ではないだろうか。

採点:7.0(10点満点)

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