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映画「スパイダーマン:ホームカミング」ネタバレ感想&解説

スパイダーマン:ホームカミング」を観た。

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スパイダーマンの実写映画化としては、サム・ライミ、マーク・ウェブ監督版に続き、3回目の6作目。監督は「コップカー」のジョン・ワッツ。(ちなみに「コップカー」はケビン・ベーコン主演の爆笑サスペンスなので未見の方は是非!)この起用は大抜擢と言って良いだろう。主演はトム・ホランド。「白鯨との闘い」にも出ていたが、やはり「シビル・ウォー」で見せたティーンエイジャーのスパイダーマン役がハマっており、単独作が期待されていたが「ホームカミング」は、その期待に応える快作に仕上がっていた。

 

監督:ジョン・ワッツ

出演:トム・ホランドロバート・ダウニー・Jrマイケル・キートン

日本公開:2017年

 

感想&解説

いよいよスパイダーマンも、マーベル・シネマティック・ユニバースの一員として、本格始動である。劇中でのトニー・スタークとの絡みも多く、今回のピーター・パーカーのキャラクター設定と相まって、2人の会話場面はコメディシーンとして楽しく仕上がっている。とはいえ、今までのアベンジャーズを観ていないとストーリーがチンプンカンプンかと言えば、決してそんな事は無いように作られているのも良い。基本的には、今回の「スパイダーマン:ホームカミング」だけ観ても楽しめるので、一見さんも安心である。

 

とはいえ、クモに噛まれて超能力を手に入れたり、ベン叔父さんが強盗に殺されるといった、スパイダーマンお約束のシーンは「もう流石に見飽きたでしょ?」と言わんばかりに、ばっさりカットされている。スパイダーマン映画を過去に一作も観ていないと、この男の子はなんでこんなにジャンプ出来るの?となる可能性はあるが、さすがに作り手もそこは割り切ったのであろう。

 

今回のスパイダーマンは、全体的に軽くて楽しい作風だ。学園コメディ風味に演出されており、友情と恋愛が程良いバランスで描かれる。出演トム・ホランドも個人的には往年の名作「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のマイケル・J・フォックスを思い出すコメディアンぶりで、その身体能力含めてピーター・パーカーにぴったりの配役である。とにかく今回のスパイダーマンはよく喋り、悩み、ドジをする。それがティーンエイジャー独特の雰囲気を捉えており、トム・ホランドのチャーミングさと良い相乗効果になっていると思う。

 

今回のヴィラン、バルチャーを演じるのはマイケル・キートン。初代バットマンを演じたキートンが、マーベルの代表キャラであるスパイダーマンの敵役を演じるというのも、なかなか面白い配役だ。バットマンといえば元々DCコミック側の代表キャラだが、今はベン・アフレックが演じていて、今年は「ジャスティスリーグ」の公開を控えているのも、なんだか因縁深い。

 

序盤から映像的な見せ場も沢山あり、アクションシークエンスのパターンも多彩で飽きさせない。今回のスパイダースーツは、トニー・スターク製という事もあり、目の大きさが変わるという設定のおかげで表情が豊かになり、コミカルな動きを含めて、スパイダーマンの愛嬌があって可愛らしいのも良い点だろう。

 

今回はトム・ホランド版の一作目という事もあり、いわゆるスパイダーマンというヒーロー誕生を描いている。映画の終盤、自らの意志で「ある選択」をし、自分や自分の大事な相手の幸せよりも、もっと大きな「正義」を選ぶピーター。そして、その時のコスチュームは、トニー・スターク製のカッコ良いものではなく、自らが作ったお手製のスパイダースーツである。今まで自分の力をスタークや世間に誇示したかっただけのお調子者の主人公が、そこで本当の意味でヒーローになる。そして、ラストシーンでトニー・スタークからプレゼントされる「あるもの」で、改めてヒーローとしてアベンジャーズの一員に迎えられた事が示されるのである。スパイダーマンの映画が繰り返し描いてきた「大いなる力には大いなる責任が伴う」というテーマに沿った、新しいストーリーが今作には描かれていたと思う。

 

スパイダーマンの次の出番は、2018年公開の「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」らしい。成長したスパイダーマンが、どのようにアベンジャーズの一員として活躍するのか今から楽しみだ。スパイダーマンのシリーズ2作目も製作決定しているので、こちらも続報に期待したい。

採点:7.0(10点満点)

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