映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

会社員バンドマンが綴る、映画と音楽のブログです。過去の名作から、新作まで綴っていこうと思います。音楽についても書くかもしれません。

「猿の惑星:創世記」&「猿の惑星:新世紀」を観た

猿の惑星:創世記」&「猿の惑星:新世紀」を観た。

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監督:ルパート・ワイアット、マット・リーブス
出演:ジェームズ・フランコアンディ・サーキスジェイソン・クラーク
日本公開:2011年&2014年

 

1968年公開の「猿の惑星」から1973年「最後の猿の惑星」までをファーストシリーズとするなら、リ・イマジネーション作品の2001年ティム・バートン版を経て、本作は「猿の惑星」の起源を描くリブートシリーズである。そういう意味では、68年版の初代「猿の惑星」だけは観ておいた方が良いだろうが、映画史的にもあまりに有名な「自由の女神オチ」のある作品の為、どんなストーリーかは知ってる方が多いだろう。2017年の10月にはリブートシリーズの完結編である「猿の惑星:聖戦記」がいよいよ公開になるが、まずその前にシリーズ2作品の感想を。

 

感想

最高に面白いSF映画である。「猿の惑星」のリブートとして、これ以上を望むのはバチが当たる。まず「創世記」は「シーザー」と名付けられた猿の成長記であるが、ジェームズ・フランコ演じるウィルが開発した薬「ALZ113」により、知能が発達した母親猿から産まれ、突然変異的に人間を凌ぐ知能を持って、シーザーはこの世に生を受ける。結果的に知能が高過ぎる猿は、人間界では順応できずに、猿の施設に入れられるが、ここから圧倒的な知能とカリスマでのし上がっていき、他の猿を率いて施設を脱出する。そして、人間の管理を逃れて猿の軍団として森の中で生きていく事を決意する。それと同時に「ALZ113」は「猿インフルエンザ」という致死性の高い新型感染症を発生させ、世界中の人間は絶滅しようとしていた。というのが、「創世記」のおおよそのストーリーである。

 

続く「新世紀」は、前作から10年後が舞台。猿インフルエンザにより抗体を持った一部の人間以外はすでに絶滅しており、少ない燃料や電気を求めていた。一方、シーザー率いる猿の軍団は、手話によるコミュニケーションが取れるほど群れとして発達しており、猿同士は殺し合わないというルールのもと、平和に暮らしていた。だが、森の奥にある水力発電所を探しに来た人間であるマルコムたちと、猿たちが出会ってしまった為に、互いに緊張感が高まる。だがシーザーの「人類と猿は共存出来るはず」という考えの元、発電所復興の為に力を合わせ、マルコムとシーザーは良い関係性を築こうとしていた。

 

ただ、人間に迫害された過去を持つ猿であるコバは、人類との共存を嫌がっていた。コバはシーザーを暗殺し、その罪を人間たちに背負わせる事で戦争を仕掛け、自分がボスになった猿だけの世界を築こうとする。だが重症を負ったシーザーがマルコムたちの助けも借りて、なんとかコバを倒し、猿軍団を再びまとめる事に成功する。だが、人間率いる軍隊と猿軍団との戦いはもはや避けられないほど大きなものになっていた。マルコムとシーザーは友情を確かめ合うものの、マルコムに早く逃げろと告げ、人類との戦いを迎えるシーザーのアップカットで映画は終わる。

 

とにかくシーザーがカッコ良い。知能とカリスマで群れの中でのし上がっていく姿は、リーダーのあるべき姿として憧れるし、彼の放つメッセージは常に説得力がある。シーザーは自己顕示や利益では無く、群れの安全を第一に考えて行動するからだ。それに比べて、本シリーズの人間たちは一部の主人公を除いて、全く逆で利己的で暴力的だ。これは意図的な演出だと思うが、観ている観客は圧倒的に猿側に感情移入する作りになっているのである。

 

施設に入れられたシーザーに対して、人間は「猿=自分より弱く知能が低い動物」として、暴力的に扱う。(ここで行われるホースによる放水で虐待されるシーンは、68年度版「猿の惑星」でチャールトン・ヘストン演じるテイラーがされる仕打ちのオマージュだ)自分たちが圧倒的に強い立場だと信じて、高圧的な行動を繰り返す人間に対して、シーザーが初めて喋る、あの「NO!」の爆発的なカタルシスたるや。

 

そもそも68年度版「猿の惑星」は「人間=白人」「猿=黄色人種(アジア人)」の白人至上主義だった人種差別のメタファーで、原作者ピエール・ブール(フランス人)は、第二次世界大戦のとき、日本軍の捕虜になっており、その体験から「猿の惑星」を描いたのは有名な話だ。シーザーによる、この人間の暴力や差別からの解放をしっかり描く事で「創世記」は、映画的な快感とメッセージが両立した名作となり得ている。

 

そして、その続編である「新世紀」は、人類対猿軍団の熾烈な戦いが、非常に高いレベルでビジュアル化されており、アクション映画としても楽しめる。猿側にも人間側にも、両種族の共存を良しとしないキャラクターが状況をひっかきまわす事で、両軍は避けられない戦いへ突入していくのだが、実際の戦争もこうやって行われていくのだろう。争いはそれを強烈に望む者がいるからこそ、起こるのである。

 

そして、リブートシリーズ3作目の「聖戦記」が2017年10月13日に公開となる。「猿の惑星」の起源を描くシリーズだけに、最終的に人類と猿軍団の戦いの行方は、おおよそ想像がつく。だがあのシーザーが人類との戦いにおいて、どの様に悩み苦しみ、そして戦い抜くのか?興味は尽きない。その後で、また改めて初代「猿の惑星」を観返すのが楽しみだ。本シリーズは、山ほどあるリブート作品の中でも、稀代の完成度を誇ると思う。まずは「聖戦記」が早く観たい。