映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

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「トレイン・ミッション」を観た(完全ネタバレ&解説アリ)

トレイン・ミッション」を観た。
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監督:ジャウマ・コレット=セラ
出演:リーアム・ニーソンヴェラ・ファーミガパトリック・ウィルソン
日本公開:2018年

 

リーアム・ニーソンジャウマ・コレット=セラ監督のコンビ作としては、2011年の「アンノウン」から始まり、「フライト・ゲーム」「ラン・オールナイト」に続く4作目である。もはや、これはリーアム・ニーソン映画という、ひとつのジャンル映画と言っても良いかもしれない。だが、個人的にはやや物足りない小品だった。辛口感想&今回も完全ネタバレありなので、ご注意を。

 

あらすじ

マイケル・マコーリー(リーアム・ニーソン)は元警察だが、今は保険のセールスマンとして働いており、仕事場へは毎日電車で通勤していた。ある日、マイケルは突然仕事を解雇され、失意の元いつものように電車に乗っていると、ジョアンナと名乗る女性から話しかけられる。彼女は「この電車が終着駅に着くまでに、100人の乗客の中に紛れ込んでいる、ある人物を発見でき、その荷物を奪えたら貴方に10万ドルを渡す」と言ってくる。最初は失業したての為に、お金に惹かれるマイケルだったが徐々に列車内が不穏な状況になり、仕事を降りようとする。だが、実はジョアンナの組織にマイケルの家族が捕らわれており、否が応でも彼女の要求に応じなければならない、危険な状況である事を知らされる。図らずも陰謀に巻き込まれたマイケルは、家族と乗客の命を救うべく行動を開始した。

 

感想&解説

ジャウマ・コレット=セラ監督作品は、いわゆる「面白そうな設定」を用意するのが、とても上手いと思う。飛行機という閉鎖的な空間で、「指定の口座に1億5000万ドル送金しなければ、20分ごとに機内の誰かを殺害する」と脅されて、真犯人を探す「フライト・ゲーム」や、事故により病院で昏睡状態から目を覚ますが、突然、愛妻から「知らない人」だと告げられ、見ず知らずの男が自分の名前を語っている事を知る「アンノウン」など、ストーリーの先を知りたくなる設定で、とにかく観客の興味を惹くのである。

 

だが実際に観ると、決してつまらなくはないが、若干こじんまりとした話に着地してしまう傾向があり、最初の設定から受ける期待値には届かないケースが多いのが特徴だ。そして、やはり本作「トレイン・ミッション」もその傾向が当てはまってしまう作品であった。突然、「この電車が終着駅に着くまでに、100人の乗客の中に紛れ込んでいる、ある人物を発見でき、荷物を奪えたら貴方に10万ドルを渡す」と言われる、主人公のリーアム・ニーソン。なんと彼は元警官という設定で、若干のご都合主義感は拭えないが、探す人物のヒントは「常連の乗客ではない」「プリンという偽名を使っている」「終点で下車する」という3点であることが提示される。

 

さて、いわゆる「巻き込まれ型ミステリー」として、ここからどうやってストーリーは転がるのか?と期待は弾むが、最初の方はこじんまりと車両を行ったり来たりしながら、乗客のキャラクターを紹介しつつ、怪しい男との格闘シーン(実はFBI)があり、警察に追われの捕まる/捕まらないのドキドキがあり、列車に飛び移りのアクションがありといった、全体的には見どころになるはずのシーンが続くが、ストーリーとしてはイマイチ盛り上がらない。

 

終着駅が近づき、消去法でプリンはある女性だと判明する。彼女はある国家絡みの殺人事件の目撃者として重要人物とされており、その殺人事件の首謀者は彼女を見つけて殺し、その証拠を奪う為に、元警官のマイケルに白羽の矢が立ったという流れだが、これはやはり相当無理がある。ジョアンナなる悪玉の女は何故わざわざ10年も前に警官をリタイアしている、リーアム・ニーソンを選んだのか?の説得性も薄いし、その「ある権力者」は警察も動かせるほどなら、プリンの身元の割出しなどすぐに可能だろう。しかも降りる駅は分かっている訳で、わざわざ電車の中で、リーアム・ニーソンに探させて、殺し屋に殺させるなどという手間がかかる作戦を取ることの理由がない。最終駅でFBIと接触しているのを狙撃した方が確実である。

 

挙げ句の果てに電車ごと爆発により脱線させようとする終盤の流れは、手間やコストを考えると、あまりに非効率的で思わず失笑してしまった。「ある権力者」に雇われた実際の殺人犯人も、リーアム・ニーソンの元同僚役として、冒頭にいかにもな登場の仕方をするパトリック・ウィルソンだったというオチで、意外性も薄い。しかも、彼が真犯人だとリーアム・ニーソンが気付くシーンも、目撃者が殺人現場で聞いた「口癖」を、彼が口走ったからという偶然性が高過ぎるトホホな展開で、ここも失笑ポイントであった。

 

ロジカルなストーリー運びを期待すると、基本的にはアクション映画としての側面が強くガッカリするが、105分とタイトで演出も悪くないので飽きずに観ていられる小品とは言える。だだし、「設定の為の設定」といった、少々無理のある展開が目立ち、ジャウマ・コレット=セラ監督のいつものこじんまり感がある作品であるのは否めない。リーアム・ニーソンジャウマ・コレット=セラコンビ作のファン向け映画だと思う。