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「ジュラシック・ワールド/炎の王国」を観た(完全ネタバレ&解説アリ)

ジュラシック・ワールド/炎の王国」を観た。

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監督:J・A・バヨナ

出演:クリス・プラットブライス・ダラス・ハワードジェフ・ゴールドブラム

日本公開:2018年


前作「ジュラシック・ワールド」から3年、再びクリス・プラットブライス・ダラス・ハワードのコンビが活躍する、シリーズ通算5作目。前作の監督であるコリン・トレボロウは製作総指揮と脚本に回り、今回は2012年「インポッシブル」や2016年「怪物はささやく」のJ・A・バヨナが監督を務める。実はこの二人、今作を観てジュラシックシリーズを作るには最良のコンビだと思ったが、個人的には第1作を除く過去のシリーズの中でも、本作は最高傑作だと感じた。今回も完璧にネタバレありなのでご注意を。

 

あらすじ

ハイブリッド恐竜とT-REXの死闘により崩壊したテーマパーク「ジュラシック・ワールド」が存在するイスラ・ヌブラル島。この島で、火山大噴火の予兆が観測されていた。危機的状況が迫る中、人々は恐竜たちの生死を自然に委ねるか、自らの命を懸けて救い出すか、究極の選択を迫られる。テーマパークの運営責任者だったクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は恐竜の救出を決意し、恐竜行動学のエキスパートであるオーウェンクリス・プラット)を誘い、すぐさま行動を開始。ところが島に向かったその矢先、火山が大噴火を起こす。こうして、生き残りを賭けた究極のアドベンチャーが幕を開けたのだった。

 

感想&解説

1993年のスティーブン・スピルバーグ監督の「ジュラシック・パーク」から、はや25年。いまだ映画史に残る名作として名高い作品であるが、「恐竜に襲われる」という基本的なメインコンセプトから脱却できない本シリーズは、2001年の第三作目「ジュラシック・パークⅢ」あたりで、(作品の完成度は置いておいて)若干の飽きを感じ始めたのは否めない。だからこそ、前作にあたる4作目「ジュラシック・ワールド」は14年ものインターバルを置いて公開され、タイトルやキャストも一新し、新シリーズとしてのスタートを切ったのである。


前作におけるクリス・プラットブライス・ダラス・ハワードのコンビは新鮮さもあり映画の質も高かったが、どうしても「恐竜パニックアクションもの」という確固たるフォーマットからの脱却は難しく、いつもの「ジュラシックシリーズ」というイメージが強かったと思う。その3年後という、まだ記憶も新しいままの続編公開という事で、予告編を観た時点では正直まったく期待をしていなかったのだが、なんと本作「ジュラシック・ワールド/炎の王国」はその予想を大きく上回る傑作だった。


まず冒頭から出し惜しみなく、まるでクライマックスが如く恐竜たちが出現し、否応なくアクションシーンに引き込まれる。またこの演出が上手く緩急をつけた意外性のある見せ方で、俄然これからの展開に期待が高まる。そして主人公二人がイスラ・ヌブラル島に渡って火山が大噴火する中、恐竜たちと逃げるシークエンスや船で脱出する際のアクションシーンなど、単純に恐竜に追いかけられるだけのアクションに終始せず、まるで往年の名作スピルバーグ印のアクションを観ているようなアイデア満載のシーンでこちらを飽きさせない。個人的に、この映画の前半を観ながら一番連想した作品は「インディ・ジョーンズ」だったほどだ。


ところが後半はまた映画のテイストが大きく変わる。前半は「インディ・ジョーンズ」+「ジュラシック・パーク」といったアクション路線だったものが、後半は「エイリアン」の要素が強くなる。しかもリドリー・スコット監督の79年作品「エイリアン」の様な、ある密閉された空間で圧倒的な力の差がある怪物から逃げるというホラーテイストが俄然強調されるのである。この演出こそが本作の監督をJ・A・バヨナが任された一番の理由なのだろう。前半と後半で映画の見せ方をガラッと変える事で観客を飽きさせず、今作の設定の肝である「人間の科学によって作られた命」や「その命の売買」というダークな設定が活きる世界観を創り出している。非常に考えられた構成になっているのだ。


そして、なんと言っても今作の肝は「ストーリーの着地」だろう。本作は「ジュラシック・ワールド」シリーズの2作目という立ち位置だ。よってラストにて更に続編がある事が示唆されるが、これがこちらの予想を大きく上回る展開を見せる。なんと生命工学で作られた恐竜たちが世界中に放たれてしまうのだ。ジェフ・ゴールドブラム演じるイアン・マルコム博士が言うラストのセリフ「ジュラシック・ワールドへようこそ!」は、第3作目で描かれるであろう、人間社会と恐竜の共存と対立という大きなテーマに繋がっていく。


そしてもう一点、劇中「メイシー」という少女が現れ主人公たちと行動を元にするのだが、この少女が実は「クローン」である事が判明する。この設定によりますますSF的な要素が加わる訳だが、クローン人間はこの世界においてメイシーだけとは限らない為、次回作のシナリオとしての振り幅はとんでもなく広がるだろう。人間とクローン人間、そしてクローン恐竜という三つ巴の攻防戦や、原作者のマイケル・クライトンが本来描きたかったであろう、人間による化学の濫用、クローンに対する倫理観、恐竜を人間が管理するという欺瞞などが描かれる気がする。


「パークの中で恐竜から逃げる」というシンプルなアクション映画だった第1作目から、第5作目にして遂にここまでの飛躍を見せた本作。まさに劇中の恐竜の様に、様々な過去の名作のハイブリッド感が楽しめると同時に、映画的な演出の上手さも光る痛快作だ。次回作が楽しみになる続編としてはこれ以上の「ジュラシックシリーズ」は無いと思う。序盤から非常にテンポ良くストーリーが進み、キャラや設定の説明は特に無いので、前作の第4作目は必ず鑑賞しておく事と、出来れば第1作目は観ておいた方が確実に楽しめるだろう。今夏公開の大作ラッシュの幕開けとしては申し分ない傑作であったと思う。