映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

会社員バンドマンが綴る、映画と音楽のブログです。過去の名作から、新作まで綴っていこうと思います。音楽についても書くかもしれません。

「イコライザー2」を観た(完全ネタバレ&解説アリ)

イコライザー2」を観た。

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監督:アントワーン・フークア

出演:デンゼル・ワシントンメリッサ・レオビル・プルマンペドロ・パスカル

日本公開:2018年

 

デンゼル・ワシントン主演、アントワーン・フークア監督の2014年公開の傑作「イコライザー」が4年ぶりに帰ってきた。デンゼル・ワシントンは「ロバート・マッコール」というキャラクターによほど愛着と手応えを感じていたのであろう、長い役者キャリアの中で初めて続編に出演し同じキャラクターを演じている。アントワーン・フークア監督とは、2001年のアカデミー主演男優受賞作「トレーニング・デイ」以来4度目のタッグとなり、その相性の良さを本作でも遺憾なく発揮していた。とにかく、久しぶりにスクリーンで観るロバート・マッコールの強さと高潔な人間性にはシビれるしかない。非常に作品としてもレベルの高い本作、今回もネタバレありで。

 

あらすじ

ロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)はタクシードライバーで生計を立てながら、街で遭遇する様々な悪党から弱き者を助ける生活をしていた。そんなある日、CIA時代の元上官であり、親友であるスーザン(メリッサ・レオ)が何者かに殺害され、悲しみに暮れたマッコールだったが、極秘捜査を開始。そして、スーザンが死の直前まで手掛けていた任務の真相に近づくにつれ、マッコールの身の上にも危険が迫ってくる。その手口から身内であるCIAの関与が浮上するが、なんと黒幕は相手は自分と全く同じ特殊訓練を受けたスペシャリストだった。そして、正義のイコライザーVS悪のイコライザーの壮絶な闘いが始まる。

 

感想&解説

超絶に強い男が世の中の困っている弱き人々を助けていくというお話は、日本でも「必殺仕事人」など過去にも類似作品はあったが、この「イコライザー」シリーズのロバート・マッコールの特徴は、過去に悲しい出来事があり、それをまだ克服出来ずに孤独である姿の儚さと、非常に高潔な人物である事が挙げられると思う。前作ではホームセンターに務めていたが、流石に職場をあれだけの戦場にしてしまったので辞めたらしく、今作はタクシードライバーとして働いている。


ただ、今回のマッコールさんはとにかく客たちの事情に寄り添う最高にお人好しの運転手で、タクシーに乗り込むお爺さんの生き別れたお姉さんを探してあげたり、暴行された女性がタクシーに乗ってきたら犯人たちのアジトに乗り込んでボコボコにしたり、行きつけの本屋さんの娘が誘拐されればトルコまで取り返しに行ったりと、街の自衛団ばりに大活躍するのである。とにかくマッコールさんは「圧倒的に強い」為、全く危なげなく敵をバタバタとなぎ倒していく。前作のキャッチコピーも「19秒で世の不正を完全抹消する。」だったが、今作も銃に頼らずに部屋にあるものを駆使しながら悪党を次々に倒していく姿は、非常に胸がすく。


そして、前作はクロエ・グレース・モレッツ演じるテリーという少女との交流が描かれ、ラストでは爽やかな後味を残したが、今作は同じアパートに住むマイルズという黒人青年との交流を描く。そのマイルズ役を演じるのは、2016年公開の名作「ムーンライト」で主人公の高校生時代を演じたアシュトン・サンダース。絵を描く事を将来の仕事としたいという夢を持つマイルズだが、地元のギャング達からの誘惑に負けそうになり、殺人を犯しそうになる。そこへマッコールが現れ彼を救うのだが、人を殺す事の恐ろしさを力強く説くシーンが印象的だ。まだ若いマイルズに「お前は選べる。お前は才能がある。環境だとか人種差別を言い訳にするな」と真摯な言葉で伝えるマッコールに、キャラクターは全く違うのだか、個人的には2008年のクリント・イーストウッド監督作「グラン・トリノ」のウォルト・コワルスキーの姿が重なった。マッコールはマイルズのメンターであり、父親がわりでもあった訳だ。だからこそ、ラストシーンでマイルズが壁面に描く絵が深い感動を呼ぶ。あの絵は、まるでマッコールの様に「人の気持ち」を深く理解しないと書けない絵だからだ。このシーンだけで、マイルズの成長がセリフ無しで上手く演出されている。是非、絵の内容は劇場で確認して欲しい。

 

今作のアクションシーン自体は少ないと思う。だが、その分1シーン毎のクオリティは高く、特に終盤の戦いの舞台となる「台風の中での銃撃戦」は非常にフレッシュで興奮させられる。どうやら、このアクションシーンを撮るために、巨大な送風機を数多く設置し、壁を乗り越えてくる波を作るために巨大なタンクを用意、太陽が映り込まない天候を待って撮影したらしく、その甲斐もあって今まで観た事がないシチュエーションでのアクションシーンに仕上がっている。素晴らしいシーンだった。

 

ストーリーは正直、特筆すべき点はない。ドイツブリュッセルでの夫婦殺人などから、本格的な謎解きが始まるのかと思いきや、ほぼ間髪入れずに自殺では無いと見破ってしまうし、元CIAの上官で親友のスーザン殺害の理由や犯人も、そこまで驚きはない。だが、この「イコライザー」というシリーズに、そこを求めるのは無粋というものだろう。「ジョン・ウィック」や「ザ・コンサルタント」のように、圧倒的にキャラ立ちしたアクション映画の名作が近年立て続けに公開されているが、この「イコライザー」もアントワーン・フークア監督の世界観と、デンゼル・ワシントンの演技が融合した作品として、立派に他アクション映画と差別化されたシリーズになっていると思う。「2」まで観てもまだ謎は残されている為、続編もあるのだろう。時間をあまり置かずに、このコンビで作られた「3」が観たいものである。