映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

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「ハッピー・デス・デイ/ハッピー・デス・デイ2U」を観た(ネタバレ無し&解説アリ)

「ハッピー・デス・デイ/ハッピー・デス・デイ2U」を観た。

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監督:クリストファー・ランドン

出演:ジェシカ・ローテ、イズラエル・ブルサード、ファイ・ヴ

日本公開:2019年

 

今回は「ハッピー・デス・デイ」と「ハッピー・デス・デイ2U」という、シリーズもの2本を続けて鑑賞した。まずかなり公開規模が小さく、限られた環境じゃないと観られない為、映画館で観るのはハードルが高いと思うが、本作はDVD化された時でも良いので絶対に観た方が良い作品だと思う。結論から言えばオススメである。特にこの「1」と「2」は、あまり時間を置かずに続けて観た方がいい。この二本は、劇中のセリフでも出てくるが、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の「1」と「2」の関係に近くて、完全にストーリーが繋がっている為、記憶が新しいうちに観た方が楽しめるからだ。監督はクリストファー・ランドン。過去「パラノーマル・アクティビティ」シリーズの脚本などを手掛けていたらしいが、今回は素晴らしい仕事をしたと思う。今回は、ストーリーが肝の作品なのでネタバレなしで感想だけを書きたい。

 

あらすじ

女子大生で遊んでばかりのツリーは、誕生日の朝も見知らぬ男のベッドで目を覚ます。慌しく日中のルーティンをこなした彼女は、夜になってパーティに繰り出す道すがら、マスク姿の殺人鬼に刺し殺されてしまう。しかし気がつくと、誕生日の朝に戻っており、再び見知らぬ男のベッドの中にいた。その後も同じ一日を何度も繰り返すツリーは、タイムループから抜け出すため、何度殺されても殺人鬼に立ち向かう事になる。

 

感想&解説

大仰な大作ではない、予算やキャストから見ればいわゆるB級作品だが、本当に面白い。まず、ホラー映画という紹介のされ方をしているが、これは語弊がある。マスクを被った殺人鬼に何度も殺されて、その度に同じ日の朝に目が覚めるというストーリーのため、観客は何度殺されても主人公は生きて目が覚めるのを分かっている。よって怖くなりようがないのだ。「1」は冒頭こそホラー的な演出もあるが、どちらかと言えば、このマスクの真犯人の正体をめぐるサスペンス映画というのが正しいだろう。90年代に「スクリーム」というホラーサスペンスシリーズがあったが、あれのかなりホラー色を抑えたイメージである。


「1」に関しては、何度殺されて行動を変えても結局、マスクの犯人に殺されてしまう為、遂に真犯人を探し出す行動に出る主人公ツリーと、その友人カーターの騒動を描く。何度も殺されながら、容疑者たちのアリバイを確認する流れは、まるでゲームのようだし、2014年トム・クルーズ主演「オール・ニード・イズ・キル」を思い出したりもした。ただ一番近いのは、この映画のラストでもカーターがセリフで言及していたが、1993年のビル・マーレー主演「恋はデジャ・ブ」である。


特に何度タイムループするうちに、最初は性悪のビッチだった主人公ツリーが、過去に母親を亡くしたトラウマや、それによる父親との確執を乗り越え、さらに友人の大切さなどに気付き、人間的に成長していくあたりなど、構造的にかなり近いだろう。本作の肝はまさにここにあり、犯人当てのサスペンス要素、何度も死ぬ事を題材にした事によるコメディ要素、そして主人公が葛藤を乗り越えて成長するドラマ要素がうまいバランスで配されており、観客の強い興味を持続させるのである。サスペンスとしてもミスリードあり、どんでん返しありと完成度も高く、伏線も回収しながらしっかりと最後まで楽しめる。更に「1」は上映時間96分とタイトな為、全く飽きる事なく最後まで持っていかれるのである。


そして「2」に関しては、なんとここにSFの要素が入ってくる。このタイムリープが何故起こったのか?という理由を、SF的な演出と「ある装置」で説明されるのだが、その理由や整合性などどうでも良くて、とにかく「バック・トゥ・ザ・フューチャー」的なタイムリープジャンルの娯楽性と、想像を超えたストーリー展開の為、興味が終わりまで途切れない。「2」に関しては、もはやホラー要素はほぼゼロに近い。ただ前述のように「1」で起こった事を「2」ではかなりひっくり返してくる展開になるので、「1」のシーンを頭に置いて観た方が確実に楽しめるだろう。この辺り、シリーズものとしても面白い。


主演のジェシカ・ローテは「ラ・ラ・ランド」の序盤で、主人公ミアの友人役として緑の服で踊っていた子で印象が薄いが、今作ではとても良い。「1」冒頭のビッチっぷりから、終盤の成長を遂げた後、それから「2」のコメディエンヌぷりまで、表情から演技までとても魅力的だ。もちろんすごい美人なのだがふとした可愛らしさもあり、これから他の作品でも目にする機会が増えるのではないだろうか。


ストーリーが魅力の作品の為、あまり深くは語れないのだが、素直にこれだけ時間を忘れて楽しめた作品は久しぶりな気がする。難しい事は何も考えずに、スクリーンで起こる出来事に笑って、泣いて、ドキドキできるという意味ではほぼ完璧な娯楽作品だろう。それだけにもっと公開規模を大きくして、いろいろな人に観て欲しいと心から思う。オープニングのユニバーサルピクチャーロゴから、遊び心に溢れたこの傑作、見逃すにはあまりに惜しい。