映画を観て音楽を聴いて、感想を書くブログ

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「ジョン・ウィック:パラベラム」を観た(完全ネタバレ&解説アリ)

ジョン・ウィック:パラベラム」を観た。

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監督:チャド・スタエルスキ

出演:キアヌ・リーブスハル・ベリーイアン・マクシェーンローレンス・フィッシュバーン

日本公開:2019年

 

2014年に第1作目が公開となった「ジョン・ウィック」シリーズの第3作目が公開となった。いまや、キアヌ・リーブスの「マトリックス」に続く、看板タイトルといえるまでの興行成績と人気を博すシリーズといえるだろう。コンチネンタルと言われる殺し屋たちのホテル内ルールや、通貨や誓印といった独特の世界観、ダンス的とも言える格闘シーンや、リアルな銃器シークエンスの数々がこの「ジョン・ウィック」シリーズの魅力であり、他の作品と一線を画す魅力になっている。今回も主演は、もちろんキアヌ・リーブス。またローレンス・フィッシュバーンイアン・マクシェーンも続投だが、ハル・ベリー演じるソフィアという新キャラが登場して、画面に花を添えている。監督もシリーズ共通のチャド・スタエルスキ。そもそも、「マトリックス」でキアヌ・リーブスのスタントマンだった異色の監督である。今回もネタバレありで。

 

あらすじ

怒りのあまりに、一流殺し屋が集う「コンチネンタルホテル」の掟である「ホテル内で殺しはおこなってはいけない」というルールを破ってしまったジョン。聖域から追放された彼を待っていたのは、組織による粛清の包囲網だった。刺客たちがさまざまな殺しのスキルを駆使し、賞金首となったジョンに襲いかかる。傷だらけとなったジョンは、かつて「血の契約」を交わしたソフィアに協力を求め、カサブランカへと飛ぶ。

 

感想&解説

ジョン・ウィック」シリーズは、3部作とどこかの記事で見た気がするのだが、どうやらガセ情報だったようだ。恐らく、製作者側の予想を超える大ヒットシリーズになった為、このまま続けた方がいいと判断したのだろう。その為、この「パラベラム」は非常に中途半端なところで終わる。4作目の公開が待たれるところであるが、これはこのシリーズの世界観があまりに上手く構成されている為に、いくらでもストーリーが続けられる裏返しとも言える。この「殺し屋たちが中心の世界」という設定は確かに面白い。事実、前作からいわゆる殺し屋以外の一般人の存在があまりに希薄で、このジョン・ウィックが住む世界はファンタジックなものに見える。町中でいくら殺しが行われても、警察もいなければ、一般人も叫び声ひとつ上げないのだ。


とはいえ、この3作目はそろそろ臨界点かなという気がする。前2作と比べても、忍者は出現するわ、馬でニューヨークを走りまくるわ、かなり現実世界とは解離しており、一作目の「犬をマフィアに殺された男の復讐劇」として、ギリギリ成立していたリアリティも今作では完全に消えている。しかもジョン・ウィックの行動原理がお世辞にもヒロイックとは言えず、素直に賞賛しづらいのも特徴だろう。おおよそ、こんなストーリーである。


殺し屋たちに狙われすぎてシャレにならんようになったジョン・ウィックは、これは組織の偉い人にゴメンなさいしに行こうと、殺し屋たちをボロボロになりながら倒しつつ、育ての親のおばさんの所に行く。そこで、何故か背中に焼き印を入れられる代わりに、モロッコカサブランカへのチケットを手に入れる。カサブランカには、元仲間のハル・ベリーがいて、なんやかんやとあって砂漠で組織の偉い人に会う。そこで、死にたくないからもう勘弁してくださいと言うと、じゃあ許す代わりに指詰めろやと言われたから頑張って詰めると、今度はあのコンチネンタルホテルの支配人を殺せと言われてしまう。渋々、オーケーして、またニューヨークに戻るジョン・ウィックだったが、なぜか殺し屋忍者軍団に襲われる始末。さらに殺しに行った支配人から逆に説得されて、最後はニューヨークコンチネンタルホテルの仲間たちと、組織に刃向かう決心をして、最後は忍者たちを倒す。だが、まだ組織との対決は終わっていない為、同じく酷い目に合っていたローレンス・フィッシュバーンと、組織に対して復讐を誓うところでエンドクレジット。


大体こんな感じだと思うが、今回のジョン・ウィックはかなり行き当たりばったりの行動だし、結局こんな大変な目に遭って、一度は組織に命乞いしに行くくらいなら、あれだけ支配人のウィンストンに止められていたんだし、チャプター2のラストにサンティーノをホテルで撃ち殺すのを我慢した方が良かったんじゃ??と思ってしまう。今作のジョン・ウィックは確かに強いのだが、前作までの様な格好良さがまるで無くひたすらボロボロになるのだが、それが自らの因果応報のため同情の余地がない。そこは本作で最大の残念ポイントであった。


この映画の大半はアクションシーンだ。これらはかなり趣向を凝らしていて、アクション映画好きなら、おそらく楽しめるだろう。かなり長回しが多用されていて、役者たち本人のしっかりとしたアクションシーンが堪能できる。キアヌ・リーブスハル・ベリーは相当な訓練を積んだのではないだろうか。アクションコーディネートは、87イレブンという会社で、チャーリーズ・セロンの「アトミック・ブロンド」も手掛けて注目されているが、本作もやはり間違いない仕事をしているといえる。2011年のインドネシア映画の傑作「ザ・レイド」のシラット使い、ヤヤン・ルヒアンの登場も嬉しい。ただ、あまりにアクションシーンの数珠つなぎな為、後半は若干飽きてしまった事は白状しておく。


1と2はそれぞれ4回ずつ観ているくらい、好きなシリーズの為、かなりの期待値を持って劇場に駆けつけたが、正直シリーズでは一番気に入らない作品となった本作。あまりにアクションシーンばかりで、シナリオがおざなり過ぎたのが原因だと思う。そろそろ次作あたりで、一作目のジョン・ウィックが見せた強さと格好良さのバランスを取り戻し、あのピットブルと一緒に大団円を迎えて欲しいと切に願っている。あと、本作「パラベラム」から観ても完全に続きのストーリーなので、チンプンカンプンだろう。くれぐれも一作目から観ることをオススメする。