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映画「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」ネタバレ感想&解説

「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」を観た。

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マーベル・シネマティック・ユニバースの13作目にして、「キャプテン・アメリカ」シリーズの3作目。だが中身は、ほぼ「アベンジャーズ」の3作目と言って良いと思う。本作は、この説明でピンと来る方向けの過去作をある程度観て来た、ファン向けの作品である事は間違いない。キャラクターの説明は一切無いし、作り手も「もう知ってますよね?」のていでストーリーを進めてくるので、「ヒドラって何?」の感じだと、この映画は楽しめないかもしれない。ただし、ある程度マーベルの一連作品を観てきたファンには、この映画は最高のエンターテイメント作品になっている。今回はブルーレイで再見。

 

監督:アンソニー・ルッソジョー・ルッソ

日本公開:2016年

 

あらすじ

これまで幾度となく人類を救ってきたアベンジャーズの戦いは、全世界へその規模を拡大。しかし、平和の守護者として世界を守る一方で、その人的被害は無視できないものになっていた。その現状を重く見た国連は、国際的な政府組織の管理下でアベンジャーズの無許可での活動を禁じる法案「ソコヴィア協定」を可決、施行した。一般市民を危機に晒してしまった自責の念からアイアンマンはその法のもとに下るが、自分の行動への責任感を強く持つキャプテン・アメリカは反発する。二人の意見はことごとくすれ違い、一触即発の緊張感は高まっていく。そんな状況の中で、とあるテロ事件の容疑でウィンターソルジャーことバッキーが指名手配されてしまう。アイアンマンとナターシャは政府の方針に従い、バッキーの捜索を開始する。だが、バッキーはヒドラの洗脳により操られており、それを知っているキャプテン・アメリカは彼を守ろうとする。テロの真犯人は?そして、アイアンマンとキャプテン・アメリカの戦いの行方は?

 

感想&解説

映画を観ている間、「うわー、凄いなぁー」という子供の様な感想しか出て来ない。アクションシーンの全てが考え抜かれたショットの連続で、これを撮るのにどれだけの手間と創意工夫が詰め込まれているのかと、考えるだけでクラクラする。とにかくVFX満載の楽しさに溢れたこの超大作は、あっという間に上映時間147分が過ぎ去る。こういう映画は、やはりディズニーの大資本あればこそだろう。

 

また今回はストーリーも良い。普通ならアベンジャーズという無敵のヒーロー軍団に対抗できる敵など居ない為、敵キャラクターの設定にはかなり苦労するはずだ。だが今作は「ソコヴィア協定」という国連の決めた取り決めに対して、従うべきか反発すべきかでアベンジャーズが2つのチームに分裂する。その2チームが争うという設定にしているのである。

 

また、なぜ両チームリーダーのアイアンマンとキャプテン・アメリカとの間で戦う必要があるのか?を描く事で、キャラクターに深みが出るし、観客も先が読めずに興味が持続する。これは上手い手法だと思う。もちろん本来の悪役キャラクターもいる。だが正直お飾りと言って良い扱いで、彼に活躍の場はほとんど無い。だが今作はそれで良いと思う。また今回初登場のキャラクターである「ブラックパンサー」と、アベンジャーズ発参戦の「スパイダーマン」も最高である。「キャラ立ち」という言葉があるが、それぞれの個性がしっかり出ている上に魅力的で、すでに単体作品が楽しみな程ファンになってしまった。

 

後半にある両チームのバトルシーンが、この映画の最大の見せ場だろうが、通常これだけのキャラクターが乱闘すれば、カメラだけがグルグル回ってカットは細切れ、何が何やら分からないというシーンになりがちだ。だがこの作品は、しっかり各キャラクターの見せ場を配置しながらも、場面ごとに観客が混乱しないよう演出されている。キャプテンチームが飛行機に辿り着くという「戦いの終わり方」をしっかり提示する事で、納得感のある勝敗がきちんと着くのも良い。

 

今作「シビル・ウォー」は、過去のマーベル・シネマティック・ユニバース13作では、アクション演出の豊富さ、各キャラクターの見せ場の巧さなどを考慮しても、個人的に最高傑作だと思う。映画としてのメッセージ性やテーマは薄いが、このシリーズにそれを求めるのは野暮だ。なによりエンターテイメント作品として、最高の映画である。

 

今後公開のマーベル作品としては、2017年1月27日「ドクター・ストレンジ」、5月27日にはあの傑作「ガーディアンオブギャラクシー」の続編、そして8月11日には「スパイダーマン ホームカミング」が予定されている。どの作品の展開も、今後のシネマティック・ユニバースに関連してくる可能性がある為、ファンは要チェックだ。正式な3作目である「アベンジャーズ・インフィニティ・ウォー」も監督はルッソ兄弟が続投なので、仕上がりは間違いなしだろう。今から楽しみである。

採点:8.0(10点満点)

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