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映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」ネタバレ感想&解説

「22年目の告白-私が殺人犯です-」を観た。

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韓国映画「殺人の告白」をベースに、「太陽」や「ジョーカーゲーム」の入江悠監督がメガホンを取りリメイクした作品。主演は藤原竜也伊藤英明。先日、韓国版を観たばかりだったので期待しないで、久しぶりに劇場で邦画を鑑賞した。結果、完成度ではオリジナルを超えている良作であると感じた。

 

監督:入江悠

出演:藤原竜也伊藤英明仲村トオル

公開:2017年

 

あらすじ

阪神・淡路大震災地下鉄サリン事件が発生した1995年、三つのルールに基づく5件の連続殺人事件が起こる。担当刑事の牧村はもう少しで犯人を捕まえられそうだったものの、犯人の策略にハマり、尊敬する上司を亡き者にされた上に犯人を取り逃してしまう。その後事件は解決することなく時効を迎えるが、その直後、曾根崎雅人と名乗る男が事件の内容をつづった手記「私が殺人犯です」を発表し、マスコミやメディアの前に現れる。

 

感想&解説

オリジナルの「殺人の告白」は、大変に面白い韓国映画であった。シナリオの意外性も素晴らしいし、アクションシーンの数々も高い完成度を誇り、韓国映画のレベルの高さを十分に感じる傑作であった。その作品の日本製という事で、そこまで期待せずに鑑賞したのだが、これがかなり良い形でリメイクされていた。

 

まず大きな変更点としては、アクション要素の削除である。本作は完全にサスペンス映画として生まれ変わっている。これは中途半端なアクションシーンを入れるより、賢明な判断だと言えるだろう。これによりストーリーが停滞する事なく、終始テンポ良くお話が展開している。そして、最大の変更点としては、なんと犯人の変更である。この作品、約80パーセントは「殺人の告白」と同じストーリーをなぞる。だから途中までは、ある程度ストーリーを予測しながら観ていたのだが、「あるシーン」で訪れる分岐点で、韓国版を観ている観客も「えっ?」となる。これは明らかにサプライズ的な演出である。

 

ここから、ストーリーは日本版独自のものになる。僕はこの変更に関しては、大正解だと思う。韓国版の最大の弱点が、この犯人の正体だと思っていたからである。「殺人の告白」は突如現れる男が真犯人の為、サスペンス的な魅力は少ない。これが日本版では、この弱点をしっかりとカバーしており、且つカタルシスもある見事な着地になっていると思う。

 

劇中二点だけ、これはアンフェアかなと思えるミスリードを誘うシーンがあったが、それも全体を通せば許容範囲だろう。また俳優陣の演技も素晴らしく、各キャラクターの葛藤や苦悩が伝わってきた。とにかく、韓国版「殺人の告白」を観た観客にも、楽しめる本格サスペンス映画として、本作「22年目の告白-私が殺人犯です-」はオススメできる作品になっていたと思う。

採点:6.5(10点満点)

「殺人の告白」の感想はこちら

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