映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記&感想Vol.38:「ロマン・ポランスキー 60年代初期傑作ブルーレイ・ボックス『水の中のナイフ』『反撥』『袋小路』」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は38本目。タイトルは、ロマン・ポランスキー監督作品「60年代初期傑作ブルーレイ・ボックス」。ヤフオクにて中古で購入。タイトル通りに「水の中のナイフ」「反撥」「袋小路」という60年代の初期作がセットになったボックス商品で、2Kレストアされている。「水の中のナイフ」を除く二作品には予告編が収録されている他、封入特典として解説リーフレットが付属されており、映画研究者大久保清朗氏による各作品の背景が読める。特に「テナント」や「ゴーストライター」といったポランスキー作品との類似点への言及などは面白かった。

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作品としては、「ローズマリーの赤ちゃん」「チャイナタウン」「戦場のピアニスト」などの代表作を持つ、ポーランド出身の映画監督ロマン・ポランスキーの60年代作品群だ。全てモノクロ作品であり、「水の中のナイフ」はポーランド作品だが、あとの二作はイギリスに渡って撮った作品であり、どちらもベルリン国際映画祭などで高い評価を受けている。今回、一気に三作品を観てみたが、個人的には「反撥」が最も面白かった。主演にカトリーヌ・ドヌ―ヴを迎え、じりじりと狂気に駆られていく女性の内面を描いたサイコスリラーで、瞳のクローズアップや壁から突き出される無数の手、ウサギの丸焼けにたかる蠅音など、以後のジャンル作品に大きな影響を与えたと思われるシーンが頻発する。ポランスキー作品でも「ローズマリーの赤ちゃん」の原型ともいえる作品だろう。


「水の中のナイフ」はポランスキーが29歳の時のデビュー作で、ヨットの上での男2人女1人による三人劇だ。BGMはクシシュトフ・コメダによるジャズが全編に使われており軽快なのだが、実際は不穏なシチュエーションサスペンスになっている。「早春」のイエジー・スコリモフスキーが共同脚本を勤めているらしい。倦怠感のある富裕夫婦とヒッチハイカーである若者が織り成す、なんとも言えない緊迫感が約90分続く。ラストシーンの「動かない車」による余韻は見事だった。「袋小路」は外界から遮断されたイギリスの古城を舞台にしたコメディサスペンスなのだが、ほとんど不条理劇と言っても良い内容で、登場人物が不自然なセリフ回しと行動を取るため、観ていてイライラする。もちろんこれは作劇上”あえて”なのだろうが、今回の三作品の中では最もカタルシスの少ない作品と言えるだろう。


いまや巨匠として名高いロマン・ポランスキーの初期三部作を、レストアされたブルーレイで続けて鑑賞できたのは良かった。来年には1979年「テス」の4Kリマスター版もメイキングドキュメンタリーが収録されて、リリースが決定しているようだ。こちらも楽しみである。


監督:ロマン・ポランスキー

出演:レオン・二ェムチク、カトリーヌ・ドヌ―ヴ、フランソワーズ・ドルレアック

日本公開:1962~1966年