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Disney+ドラマ「マンダロリアン」ネタバレ考察&解説 とにかくSWファンは必見!シーズン2の展開がヤバすぎる!

「マンダロリアン」を観た。

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2019年11月からスタートしたストリーミング・サービス『Disney+』のキラーコンテンツとして配信がスタートした作品。時系列は「ジェダイの帰還」から5年後、「フォースの覚醒」の25年前という設定で、スター・ウォーズの世界観を踏襲しながらも"マンダロリアン"という新キャラクターの活躍を描くドラマシリーズだ。製作総指揮は「アイアンマン」の監督や「アベンジャーズ」の製作総指揮を務めたジョン・ファヴロー、エグゼクティブ・プロデューサーとしては「クローン・ウォーズ」の劇場版監督のデイブ・フィローニや、キャスリーン・ケネディが名を連ねる。現在シーズン2終了までが公開されているが、今回もネタバレありで感想を書きたい。

 

製作総指揮:ジョン・ファヴロー

出演:ペドロ・パスカル、カール・ウェザース、ジーナ・カラーノ

日本公開:2019年~

 

あらすじ

帝国の崩壊から約5年後、ファースト・オーダーが台頭する前の物語。この時代の銀河には中央政府が存在せず、始まったばかりの新共和国の法も銀河の辺境の開拓星には届かない。そんな時代にバウンティハンターとして生きる一匹狼の凄腕ガンファイター、マンダロリアンは惑星マンダロアの戦士のアーマーに身を包み、誰も寄せ付けないほどの圧倒的な強さを誇っていた。ある日マンダロリアンは、バウンティハンター・ギルドのリーダーであるグリーフ・カルガからある高額な報酬の仕事を依頼される。その仕事とは、ある標的を発見して連れてくることだった。

 

 

感想&解説

以前より本作の評判は聴こえていたが、『Disney+』に加入していなかった事とドラマシリーズという事で、なんとなくスルーしていた「マンダロリアン」。だがこの連休で『Disney+』に登録し、つい観始めた訳だが、二日間でシーズン2まで”イッキ観”してしまった。あまりに面白くて止められなくなってしまったのだ。特にスター・ウォーズファンで、本作を観ていないのは本当に勿体ない。位置づけはスピンオフなのだろうが、むしろロン・ハワード監督の2018年「ハン・ソロ」などと比べても、正史に忠実な作品として世界観の整合性を保っているし、素直にスター・ウォーズの新作としてワクワクできる。特にシーズン2はあまりに胸アツな展開の連続に、口を開けて画面に見入ってしまったほどだ。

 

シリーズのおおよその構成としてはシーズン1〜2ともに各8話で構成されており、1話が30分~50分と幅がある。8話全てを観ると約5時間弱なので、シーズン2まで観ても10時間程度だ。そういう意味ではあっという間に観終わってしまうが、後追いでも十分に追いつけるという意味では有難いボリュームだ。ちなみにシーズン3も制作が決定しており、2021年の冬くらいに配信開始になるらしい。他にもアソーカ・タノのスピンオフ「スター・ウォーズ:アソーカ」や、ランド・カルリジアンやオビ=ワン・ケノービ、ボバ・フェットがそれぞれ主役を務めるスピンオフなども今後は計画されているらしいのだが、乱発しすぎて今回の「マンダロリアン」くらいの高いクオリティを保てるのか?は若干心配だ。むしろ個人的には、せっかくここまで作り込んだ「マンダロリアン」シリーズを、今後もしっかりと継続してほしいと思ってしまう。

 

 

とにかく「マンダロリアン」は、作り手の”スター・ウォーズ愛”が溢れていて、そこが涙腺を刺激する。それはジョン・ファヴローやデイブ・フィローニが、ジョージ・ルーカスの創造した世界観に最大限のリスペクトを払っているからだろう。かといって懐古趣味にも陥らず、表面的に設定をなぞるだけではなくむしろ新しいことにも挑戦している。さらにシリーズの全体構成もかなり練られており、今思い返すとここがディズニー体制の新三部作には欠けていた部分だったので、本作は奇跡的なバランスになっていると感じた。30分~50分の各作品はまるで映画一本分くらいの満足度があり、基本的には各話完結の短いストーリーの連なりで構成されているのだが、特に各シリーズの7~8話は強烈なフックが用意されており、まるで飽きさせない。

 

大まかなストーリーとしては「ザ・チャイルド」と呼ばれる”赤ちゃんヨーダ”を巡り、主人公マンダロリアンが帝国軍の残党の手から彼を守り、ジェダイの騎士に渡すまでのお話なのだが、ベースには「子連れ狼」といった時代劇の演出をそこかしこに感じるのも面白い。そもそもジェダイという言葉は「時代劇」に由来しているというのが通説だし、ジェダイの衣装にも着物の要素が取り入れられたりしているので、このあたりにも作り手からのリスペクトが込められているのかもしれない。黒澤明の「七人の侍」オマージュ溢れるエピソードもあって、日本文化の影響は濃いと思う。

 

 

シーズン1の2話目からジャワ族が登場し、それから次々とAT-ATの変形機「AT-ST」、惑星タトゥイーンやカンティーナ酒場のハン・ソロが座っていたシート、エピソード6のジャバザハットの宮殿にいたガモーリアン、タスケン・レイダーとマンダロリアンが協力するエピソードなど、過去のエピソード4~6のファンであれば嬉しい場面が目白押しだ。そしてシーズン2に関しては、次々と驚きの展開が待ち受ける。ここからネタバレになるが、シーズン2の5話は「クローン・ウォーズ」で登場したアソーカ・タノが実写で初登場し、シーズン2の6話からはいよいよボバ・フェットが大活躍する。両キャラクター共に激しいアクションシーンが堪能できるのだが、特にアソーカ・タノは白いライトセイバーを二刀流にしたジェダイならではの殺陣を、女優ロザリオ・ドーソンが演じており、これがカッコよすぎて眼福の一言に尽きる。

 

そしてシーズン2のラストである第8話の展開は強烈なカタルシスが待ち受けているのだが、この演出も上手い。マンダロリアンとダークトルーパー1体の戦いを先に配置して、敵の強さを十分に見せておく事で、観客はその後、ダークトルーパー数十体に追い込まれる展開を絶対絶命だと感じる。そこに一機のXウイングが到着するのだが、そこからフードを被ったジェダイ風の男が降り立ち、「緑のライトセーバー」とフォースを使いながらバタバタとダークトルーパーを倒していく。この時点で、もう僕の心臓はバクバクだ。エピソード6「ジェダイの帰還」から5年後という設定なので、皇帝を倒しジェダイマスターとして最盛期の強さの”彼”を目の当たりにできて、感動で涙ぐみそうになる。そう、なんとラストにはルーク・スカイウォーカーが登場するのである。

 

そしてルークが登場した事により起こる、マンダロリアンとチャイルドの別れのシーンにも思わず涙する。アナキンがルークの父親だったように、マンダロリアンはチャイルドの父親代わりだったのである。思い返せば、スター・ウォーズは常に「父と子」の物語を描いてきたシリーズだ。その系譜として、シーズン2のラストを締めくくる相応しいシーンだったと思う。とにかくこの「マンダロリアン」を観ている二日間は、スター・ウォーズを観ている幸福感に久しぶりに浸れる時間であった。シーズン3の配信まで一年もあるのが、今はつらくて仕方ない。ちなみに今は、本作のメイキング・ドキュメンタリーシリーズ「ディズニー・ギャラリー/ スター・ウォーズ:マンダロリアン」を観始めたところだが、これも一話30分ほどの8話構成となっており滅法面白い。スター・ウォーズファンとしては、しばらく『Disney+』を立ち上げる毎日になりそうだ。

 

 

採点:9.5点(10点満点)