映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

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映画「ズーム 見えない参加者」ネタバレ感想&解説 「Zoom×ホラー」のアイデア一発!

「ズーム 見えない参加者」を観た。

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このコロナ禍で多く使われるようになった、WEB会議ツール「Zoom(ズーム)」を題材に制作されたホラー映画で、コロナでロックダウンされたイギリスを舞台にしている。Zoomを使って死者と交信するという余興を始めたメンバーが、恐怖体験に見舞われるという作品だ。監督はロブ・サベッジ。おそらく日本では本作がデビュー作だが、そもそもはオンライン飲み会の中で監督が仕掛けた「いたずら」の様子をTwitterに投稿したところ大反響があり、ホラー映画配信サービス「Shudder(シャダー)」によって映画化されたらしい。今回もネタバレありで感想を書きたい。


監督:ロブ・サベッジ

出演:ヘイリー・ビショップ、ラディーナ・ドランドバ、ジェマ・ムーア

日本公開:2021年

 

あらすじ

新型コロナウイルスパンデミックのためにロックダウン中のイギリスに暮らすヘイリーらは、仲間たちと週に一度はZoomで顔を合わせていた。ある時、ヘイリーが霊媒師をゲストに招き、みんなで「Zoom交霊会」をしようと提案する。仲間たちも賛同し、いつもの飲み会のノリで和気あいあいと交霊の儀式が始められるが、そのうちそれぞれの部屋で異変が起こりはじめる。

 

パンフレット

販売無し。

 

感想&解説

密を避けて全編「Zoom」を使って撮影されたという事で、このコロナ禍だからこそ生まれた作品だろう。あの「ブラムハウス・プロダクションズ」のジェイソン・ブラムも、Twitterで「最高傑作!!!!」と絶賛しているが、この「Zoom×ホラー」というアイデア一発が突出した映画だと思う。内容としては「Zoom交霊会」を行った男女が悪霊を呼び出してしまい、画面ごしに次々と惨劇が起こるというシンプルなストーリーだ。「パラノーマル・アクティビティ」や「アンフレインデッド」といった作品をZoomに置き換えただけと言ってしまえばそれだけなのだが、意外とこれが面白い。

冒頭はZoomというサービス自体の説明という感じで、背景画面を変更できることや顔認証でマスクなどができることが、登場キャラクターの紹介と共にテンポよく語られる。最初の各キャラクターの言動からおおよその性格や状況が把握できる為、スムーズに物語に集中できる作りは上手いと思った。なにせ本作の本編はおおよそ約63分弱しかない為に映画の進行は非常に早く、しかもホラー作品という事で”中だるみ”している暇は全くない。ここは本作の良い点だと思う。


またこのZoomをモチーフにしている事で画面が常に分割されている為、観客は常に視点を動かしている必要がある。どの画面で何が起こるかがわからない為だ。背景に映るちょっとした光は演出なのか偶然なのか?、ショック演出が起こったときに他の画面上のキャラクターはどんな表情をしているのか?など、画面が分かれていることにより情報量が多いのだ。ただ作り手が集中して観てほしい場面の場合は”映画の編集”として、一画面にカメラが寄るのでそこは親切ではあるが、ホラー作品としてその場を体験しているという、いわゆる”ドキュメンタリー感”が薄れるのは好みの問題かもしれない。


またこの手の作品によくある「何でそこをカメラで撮影してるの?」問題は、やはり本作でも頻発する。明らかに、普通であれば逃げ出すような事が起こっているシチュエーションにも関わらず、しっかりとPCを持って暗闇を徘徊してくれるキャラクター達には苦笑いが漏れてしまう。ただ、ホラー映画の演出として結構練られているのも事実で、リモートで繋がっているという特性を活かして、画面ごしに追い詰められていく友人をただ見ているしかないという恐怖感はうまく表現できていると思う。ラストの演出も「来るぞ来るぞ、やっぱりキター!」という、基本的には音でビックリさせる古典的な恐怖演出で押し切る姿勢は好ましいし、結局、悪霊の正体も解らず宙ぶらりんで終わらせるエンディングや、Zoomの画面を活かしたエンドクレジットも洒落ていて良いと思う。


ただ上映前に「エンドクレジット後に、心霊現象が起こったメイキング映像があるのでご覧ください」という案内が流れるのだが、この本編後に上映される約5分の映像はかなり不満だった。撮影前のリハーサルで出演陣とスタッフが「交霊会」を行ったらしいが、正直たった今まで観ていた本編の劣化バージョンを見せられている感じだ。妙にセリフくさいやり取りと、本当に恐怖現象が起こっているならこんなリアクションはしないだろうという反応の連続で、まるでリアリティがない。これならわざわざ追加する必要はないと思ってしまった。


特別料金1,000円&68分という上映時間で、気晴らしにサクッとホラー映画が観たいという人にはピッタリの作品だと思う。しかも恐怖シーンにおける音演出の重低音とノイズがしっかりと効果を出していて、これは映画館ならではの体験だろう。コロナ禍において、新しいクリエイターが知恵を絞って制作した作品として、今だからこそ観る価値のある映画だと思う。

採点:6.5点(10点満点)