映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は80本目。タイトルは、シドニー・ルメット監督作品「その土曜日、7時58分」。amazonにて中古で購入。映像特典としては、「シドニー・ルメット監督の撮影現場」「インタビュー集(5種)」「オリジナル劇場予告編集」「日本版劇場予告編集」で、計48分ほどが収録されている。特に「シドニー・ルメット監督の撮影現場」は、監督やプロデューサーのマイケル・セレンジーらと主要キャストが、本作の制作について語っているメイキングドキュメンタリーでとても面白い。監督は本作を”物語主導のメロドラマ”だと呼んで脚本を絶賛しており、大げさギリギリの演出を心がけたと語っている。また本作の主人公である兄弟は最初の脚本では友達という設定だったが監督が変更したらしく、それにより悲劇性が増したとプロデューサー陣がその手腕が称えている。フィリップ・シーモア・ホフマンやイーサン・ホークも、リハーサルを重ねつつも現場での突発的な演技を許容したり、デジタルカメラをいち早く導入したシドニー・ルメットの現場に感心しており、非常にスムーズな撮影だったようだ。
作品としては、「十二人の怒れる男」「狼たちの午後」「評決」のアメリカを代表する名匠シドニー・ルメットの監督45作目であり、遺作である。出演はフィリップ・シーモア・ホフマン、イーサン・ホーク、マリサ・トメイ、アルバート・フィニーらで、彼らの演技合戦が楽しめる。ジャンルとしては”犯罪サスペンス”だと思うが、フィリップ・シーモア・ホフマンとイーサン・ホークが演じる兄弟が計画した”宝石強盗事件”を中心に各キャラクターの時系列を入れ替える演出により、先の読めない展開となっている。特に兄弟の父親を演じたアルバート・フィニーが本作のキーマンで、ラストシーンにおける彼の表情は味わい深い。2014年に亡くなったフィリップ・シーモア・ホフマンの演技も素晴らしく、骨太の社会派作品を多く手がけた82歳の監督作として、必見の映画になっていると思う。
監督:シドニー・ルメット
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、イーサン・ホーク、マリサ・トメイ
日本公開:2008年