映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記&感想Vol.111:「美しき冒険旅行《HDニューマスター版》」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は111本目。タイトルは、ニコラス・ローグ監督による作品「美しき冒険旅行《HDニューマスター版》」。ヤフオクにて中古で購入。映像特典としては「ジェニー・アガターインタビュー」「リュック・ローグインタビュー」「オリジナル予告編」が、計45分ほど収録されている。「リュック・ローグインタビュー」では、ニコラス・ローグ監督の息子であり映画にも出演しているリュック・ローグが本作の撮影当時について語っており、「父親の監督作の中でもっとも好きな作品」「詩のように美しい映画」と評している。撮影当時はローグ家族にとって幸せな時間だったらしく、テントでのキャンプ暮らしをしながら撮影は続けられたようだ。撮影の中盤に、少年だったリュックの前歯の乳歯が抜けるというトラブルが起き、急遽飛行機で歯医者に行き入れ歯を作ったなどのエピソードは面白かった。

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作品としては、「赤い影」や「地球に落ちて来た男」が有名なニコラス・ローグ監督のデビュー作であり、本作では撮影監督も担当しているロードムービー。父親の突然の自殺によりオーストラリア未開の地を彷徨うことになったイギリスの白人姉弟と、1年間独力で生き抜くというアボリジニ通過儀礼「ウォーカバウト」中の少年との交流を描いた作品で、ストーリーや演出も含めて非常にユニークな映画になっている。今でもニコラス・ローグの最高傑作と評されることも多く、現代的な白人の少女とアボリジニの少年の行動を対比的に描き、野生動物を生きるために狩り料理する様子や、随所に"蠅の羽音"などを入れることで、強烈に「生と死と性」を感じさせる映画になっている。特に後半にある、言葉が通じない少女に対して求愛のため一晩中アボリジニのダンスを踊り続ける少年の姿は、目に焼き付いて離れない。9カ国76人の映画評論家によって選ばれる「死ぬまでに観たい映画1001本」にも、選出されている作品である。”HDニューマスター版”は、米国クライテリオン社制作による高画質HDデジタルマスターが使用されており、オーストラリアの大自然がクリアな画像で楽しめる。

 

監督:ニコラス・ローグ

出演:ジェニー・アガター、リュシアン・ジョン、デイヴィッド・ガルピリル

日本公開:1972年