映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記&感想Vol.159:「フェイシズ」「こわれゆく女」「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」 ≪2014年 HDリマスター版≫

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は159本目。タイトルは、ジョン・カサヴェテス監督による作品「フェイシズ」「こわれゆく女」「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」の3本。Amazonにて新品で購入した。特典映像は「オリジナル予告編」。59年「アメリカの影」で監督デビューし亡くなる80年代まで、コンスタントに名作を残し続けたアメリカの鬼才ジョン・カサヴェテス監督。彼の代表作3作品がかなり安くなっていたので、今回ブルーレイで購入した。HDリマスター版&リニアPCMの高音質で、2014年に初ブルーレイ化された商品だ。それぞれ「フェイシズ」は1968年、「こわれゆく女」は1975年、「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」は1976年の作品で、カサヴェテスの配偶者であるジーナ・ローランズをはじめ、ピーター・フォークシーモア・カッセルといった役者たちが出演している。ちなみに「オープニング・ナイト」と「アメリカの影」を含んだ、5枚組ブルーレイボックスセットも販売されている。

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ジョン・カサヴェテスは”インディペンデント映画の父”と呼ばれており、自身の俳優活動で得た収入を注ぎ込み、ハリウッドの商業主義に対抗した自由な作品を残した監督だ。69年と75年のアカデミー賞では、「フェイシズ」と「こわれゆく女」が「作品賞」にノミネートされている。クローズアップを多用した独特の画作りで「夫婦や家族の危機」を描いた作品が多く、特にこの3作品の中なら「こわれゆく女」が印象的だった。主人公はジーナ・ローランズが演じる精神バランスの不安定なメイベルという主婦。ピーター・フォーク演じる夫ニックが仕事の都合で帰宅できなかった夜を発端に、メイビルは異常な行動を見せるようになり段々と家族が崩壊していくというストーリーだ。このジーナ・ローランズの演技が圧巻で、彼女の壊れっぷりが炸裂する終盤の行動の数々には驚かされる。ピーター・フォーク演じる夫の過度なマッチョイズムも異常で、後半は二人を観ているのが本当に辛くなるが、お互いに愛しているのに伝わらない”もどかしさ”を表現している作品なのだと思う。場末のストリップクラブを舞台にした「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」も、非常に変わったバランスのフィルムノワールで、ジョン・カサヴェテスならではの世界観が楽しめる一作だ。

 

監督:ジョン・カサヴェテス
出演:ジーナ・ローランズピーター・フォークシーモア・カッセル

公開:1968~1976年