映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記&感想Vol.162:「ホドロフスキーのDUNE」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は162本目。タイトルは、フランク・パヴィッチ監督による作品「ホドロフスキーのDUNE」。ヤフオクにて中古で購入。特典映像は「未使用映像&削除シーン(計60分)」「日本版予告編/本国版予告編」。2021年10月にドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「DUNE/デューン 砂の惑星」が公開されるのに先駆けて、久しぶりにブルーレイで鑑賞した。フランク・ハーバートの原作「DUNE」を、「エル・トポ」のアレハンドロ・ホドロフスキー監督が映画化しようとしたが、未完に終わるまでを描くドキュメンタリー作品だ。ホドロフスキー監督は劇中で「私にとって映画はビジネスである前に芸術であり、特に『DUNE』は芸術と映画の神の降臨で深遠なものだ」と答えており、DUNEへの並々ならぬ熱意を語っている。また「ドライヴ」のニコラス・ウィンディング・レフン監督は、ホドロフスキー監督が作った「DUNE画コンテ/設定集」を見る機会に恵まれ、「素晴らしい傑作だった」と答えているし、デヴィン・ファラチという映画評論家も「(1975年に)彼のDUNEが完成していたら、まさに時代の最先端を行く作品になっただろう」と語っており、未完成にも関わらず高い影響力を感じさせる。

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「DUNE」の企画は1975年に46歳だったアレハンドロ・ホドロフスキーと、28歳のフランス人プロデュサーであるミシェル・セドゥーの2人から始まり、そこに当時有名だった漫画家のメビウスや、この後「エイリアン」の原案に携わるダン・オバノン、宇宙船や建造物をデザインするアーティストのクリス・フォス、コンセプトアートのH・R・ギーガーといった一流のスタッフが合流していく様子を、ホドロフスキー自らが解説していく内容には興味を惹かれる。また音楽を依頼しに、アルバム「狂気」をミックスしているピンク・フロイドの元を訪れたホドロフスキーが、彼らの態度の悪さに声を荒らげたという話や、帝国の皇帝役をサルバドール・ダリに依頼しにいったら、「撮影1時間ごとに10万ドル」を要求されたというエピソードなどは、面白すぎてどこまでが本当かわからない位だ。さらにミック・ジャガーに出演してほしくてパーティに潜り込んで依頼したという話や、巨漢の悪役にオーソン・ウェルズをオファーする際、「一緒にお気に入りのレストランのシェフも雇う」と約束したというエピソードからも、ホドロフスキー監督の異常な行動力を感じさせる。


ただ1,500万ドルという莫大な予算感や、上映時間12時間を作りたいというホドロフスキーの狂気、映画スタジオ側の「こんなビッグバジェット作品をホドロフスキーには任せられない」という思惑などが絡み、遂には制作は中止になってしまう流れにおいての監督の落胆ぶりには共感させられるし、企画がデヴィッド・リンチ監督の元に流れてホドロフスキーは大きなショックを受けたが、実際に作品を観たらあまりの駄作ぶりに嬉しくなったという話は、リアル過ぎて爆笑ものだった。完成したビジュアルアートや設定集を各映画会社に送ったことによって、スター・ウォーズターミネーターフラッシュ・ゴードン、プロメテウスなどのSF名作に強い影響を与えたと言われる、ホドロフスキーが手掛けた未完のSF大作「DUNE」。さて、これから公開されるドゥニ・ヴィルヌーヴ版は一体どのような作品になっているのだろうか。


監督:フランク・パヴィッチ

出演:アレハンドロ・ホドロフスキーH.R.ギーガー、クリス・フォス、ニコラス・ウィンディング・レフン

日本公開:2013年