映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記&感想Vol.277:「悪魔のような女」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は277本目。タイトルはアンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督による、1955年公開作品「悪魔のような女」。特典映像としては、特になし。作品としては、ヌーヴェル・ヴァーグの巨匠であり、ウィリアム・フリードキン監督によって後年にリメイクされた「恐怖の報酬」のオリジナル版でも有名なフランス人監督、アンリ=ジョルジュ・クルーゾーが手掛けたサスペンス。アンリ=ジョルジュ・クルーゾーは、ヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞、ベルリン国際映画祭金熊賞カンヌ国際映画祭ではグランプリを受賞しており、世界三大映画祭の最高賞を全て獲得した映画史上初めての監督でもある。本作「悪魔のような女」は、世界中で高評価を得た「恐怖の報酬」の直後、アルフレッド・ヒッチコックの作品から影響を受けて制作されたらしく、「鑑賞後、ストーリーを決して口外しないように」というテロップが入るくらいに、衝撃的なラストが特徴的な作品だ。

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65年以上前の作品とは思えないくらい、演出/ストーリー/画作り共に洗練されていて驚かされる。これだけ「これからどうなるんだろう?」と、最後まで興味が途切れずに鑑賞できる作品は、今でもかなり貴重だろう。舞台はフランスの男子寄宿舎学校。横暴な校長ミシェルは女教師ニコルと不倫関係にあるが、暴力的なミシェルと別れたいニコルは、本妻であるクリスティーナと結託し彼の殺害計画を立てる。ニコルの生家におびき寄せ睡眠薬を飲ませることで、殺害に成功した二人は学校のプールに遺体を隠すのだが、その死体がある日忽然と消えてしまうのだったというストーリーで、シナリオも破城していないフェアなサスペンスとして、ラストまで楽しめる。シモーヌ・シニョレとヴェラ・クルーゾーが演じるまったくタイプの異なる二人の女性が魅力的だし、ラストのいきなり今までのリアリティラインが一瞬だけ歪むような展開も、ゾッとして強烈だ。ブルーレイはリマスター版だけあって、モノクロながら美麗な映像でこの傑作が楽しめる。アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督作品はまだブルーレイ化されているものは少ないが、本作はパブリックドメイン化されてスペシャルプライスになっていることもあり、次なる過去作のブルーレイ化にも期待したい。

 

 

監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
出演:シモーヌ・シニョレ、ヴェラ・クルーゾー、ポール・ムーリス、シャルル・ヴァネル、ジャン・ブロシャール
日本公開:1955年