映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイレビュー&感想Vol.289:「パプリカ」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は289本目。タイトルは今敏監督による、2006年公開作品「パプリカ」。特典映像としては「『パプリカ』のアニメーション分析」で、「奇妙なパレードのシーン」「亀裂の内部に入るシーン」「皮を切り裂くシーン」に3場面について、絵コンテとアニメーションの比較映像が約7分に亘って収録されている。また今敏監督と音楽担当の平沢 進による、「音声解説」も収録されており、二人から制作の裏話が聞ける。2010年にガンにより死去した今敏監督の遺作であり、監督の”集大成”といったエンターテインメント作品だ。配給はソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが担当している。AKIRA」や「千と千尋の神隠し」「攻殻機動隊」などと並び、ジャパニーズアニメーションの傑作として海外からの評価も高く、ベネチア国際映画祭でもオフィシャルコンペティションに選出されている。声の出演も「エヴァ」の林原めぐみ、「ガンダム」の古谷徹、「メタルギアソリッド」の大塚明夫、数々の洋画吹き替えでもお馴染みの山寺宏一など、声を聴くだけで誰だか判るほどの豪華声優陣だ。

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クリストファー・ノーラン監督の「インセプション」は、本作から多大な影響を受けたようで、他人と夢を共有できたり侵入したりというメインモチーフもさることながら、ホテルの廊下がねじれてゆくシーンや、空間の一部がバリバリとガラスのように崩れ落ちる場面など、映像的にもインスパイアされたと思われるシーンが多い。さらにダーレン・アロノフスキー監督の「レクイエム・フォー・ドリーム」にも、監督の長編デビュー作である「PERFECT BLUE」とほぼ同じシチュエーションのシーンが表現されていたりと、ハリウッドにも今敏監督の影響は大きいのだろう。作品としては、筒井康隆による傑作SF小説を、「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」の今敏監督が劇場アニメ化したサスペンスファンタジー。他人の夢を共有できる開発中のテクノロジー「DCミニ」を使って、セラピストの千葉敦子は“パプリカ”という夢の中のもうひとつの裏の顔で、患者たちの心をケアしていた。だがある日、その「DCミニ」が何者かによって盗まれてしまい、現実世界の人物たちが暴走していくというストーリーで、アニメーションの技法を凝らした悪夢的な映像の数々が楽しめる。特に平沢進の音楽をバックに描かれる、”パレード”シーンのクオリティは圧巻だ。ブルーレイで何度も観返したくなる、間違いなく日本アニメーションのマスターピースだと思う。

 

 

監督:今敏
声の出演:林原めぐみ江守徹堀勝之祐古谷徹大塚明夫山寺宏一
日本公開:2006年