映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイレビュー&感想Vol.308:「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ【2Kニューマスター版】」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は308本目。タイトルは監督による、2000年作品「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」。特典映像としては、「オリジナル予告編」「削除シーン」「フアン・デ・マルコス・ゴンザレス氏インタビュー」「2022年監督インタビュー」で、計50分が収録されている他、遠山純生氏による「解説リーフレット」が封入されている。「2022年監督インタビュー」では、ヴィム・ヴェンダースが「『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』のアイデアは、何もなかった。撮り始めるまで何もね。僕のアイデアじゃないんだ。ライ・クーダーの勧めで、1週間前に言われてハバナに行くことになったんだ。カメラマンと録音技師の手配に大わらわだったよ。彼はその前にハバナでレコーディングしていて、そのラフ・ミックスをカセットでかけてくれたんだけど、その音楽がとても良かった。ライがハバナに戻りたい理由が良く分かったよ。しかもこれを80代の老人たちが演奏していると聞き、信じられなかった。それでその一か月後に、”そろそろ行くぞ”と告げられ、”どこへ?何だっけ?”と答えたら、”ハバナだよ、1週間後に出発だ”と言われ、急遽現地に向かう事になったんだ。」と語っている。

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また「最初、キューバの音楽家たちは我々を怪しんでいたね。これから数週間一緒にいて、君たちを撮影すると言ったら、彼らは当惑していた。”録音中に一緒にいる?気に入らないな”と懐疑的だったんだ。彼らとは初対面だし、撮影のことをライは伝えていなかったからね。しかし、2日目のランチ休憩の時のことだ。ミュージシャンたちがロビーで食事している時、何の気なしにスタッフがウッドベースで”バッハのソナタ”を弾き始めたんだ。楽器の心得があったんだね。全部の楽器はマイクに繋がっていたから、ロビーのミュージシャン達がスピーカーからそれを聴いて、スタジオに入ってきたんだが、演奏が終わるとみんなが拍手をしてくれたんだ。その瞬間にすべてが変わった。”こいつら音楽が出来る、いいヤツらだ”とね。我々はチームの一員になり、親しい友人になったんだよ。」と言い、「3週間撮影して、素材は80時間分あった。これで十分に1本の映画になるはずだったんだ。しかしライから電話があって、”彼らがライブするから、アムステルダムに行くぞ”と言われた。私のクルーたちは彼らに再会できて大喜びさ。リハも含めて、3日間ノンストップで撮影したよ。それでまた20時間の素材と編集室に戻ったんだ。このコンサートが映画の核にもなったね。」と答えている。


作品としては、「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」などの名匠ヴィム・ヴェンダースが、「ストリート・オブ・ファイヤー」「マイ・ブルーベリー・ナイツ」などの音楽を手掛け、スライドギターの名手でもあるライ・クーダーとタッグを組んで撮影した、音楽ドキュメンタリーだ。第72回アカデミー賞では、「長編ドキュメンタリー賞」を受賞している。ライ・クーダーが敬愛するキューバの伝説的ミュージシャンたちと制作した、アルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は大ヒットを記録し、1997年のグラミー賞にも輝いたのだが、このドキュメンタリー作品はヴィム・ヴェンダース監督が、そのレコーディングの為にキューバを再訪するライ・クーダーに同行し、ライブやアルバム録音中のメンバーの様子などを撮影した作品だ。アムステルダムやNYにあるカーネギーホールでの演奏を交えながら、バンドメンバーを順番に紹介する構成をとっており、各メンバーの個性的な一面を観ているだけで楽しめる。もちろんキューバ音楽そのものの素晴らしさもある為、何度も観直したいブルーレイとなっている。

 


監督:ヴィム・ヴェンダース

出演:ライ・クーダーイブライム・フェレールコンパイ・セグンド、ルベーン・ゴンザレス、オマーラ・ポルトゥオンド、エリアデス・オチョア

日本公開:2000年