映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイレビュー&感想Vol.310:「ラスト、コーション」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は310本目。タイトルはアン・リー監督による、2008年作品「ラスト、コーション」。特典映像としては、特に無し。「ウェディング・バンケット」「グリーン・デスティニー」「ブロークバック・マウンテン」「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」など、まったく異なるジャンルで数々の傑作を残してきたアン・リー監督の2008年日本公開作。第64回ヴェネツィア国際映画祭では、金獅子賞と金オゼッラ賞(撮影賞)をダブル受賞し、第65回ゴールデングローブ賞では最優秀外国語映画賞にノミネートされている。また、かなり激しいセックスシーンが話題になった作品で、アメリカではNC-17指定、日本ではR-18指定で公開されている。出演は「恋する惑星」「インファナル・アフェア」「レッドクリフ」のトニー・レオン、「ブラックハット」「ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ」のタン・ウェイ、「ラストエンペラー」のジョアン・チェン、「ラスト・ソルジャー」のワン・リーホンなど。

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ストーリーとしては、1942年の日本占領下の上海、抗日運動に身を投じるクァンをリーダーとする学生劇団に入団したワンは、敵対する特務機関のリーダーであるイーに近づき、暗殺の機会をうかがっていた。やがて工作員として彼を誘惑しようとするワンだったが、用心深いイーは彼女の誘いには乗ってこない。だが3年後、暗殺計画の工作員として抗日組織から再度抜擢されたワンはイーと再接触し、激しい逢瀬を重ねることになる。常に死と隣り合わせの日常から逃れるように、二人は激しく互いを求め合い惹かれていくのだった、という”あらすじ”だ。本作のトニー・レオンタン・ウェイによる、あまりに赤裸々な性描写にはもちろん意味がある。日中戦争の最中に暗殺に燃える学生たちが、グループ中の一人の女性にセックスを覚えさせ、殺す男に近付こうとする話であり、その二人がいつ死ぬかわからない時代設定だからだ。欺瞞と嘘の中でいつしかお互いの身体を求めるという話だからこそ、この濃密な性描写は必要なのである。美術やセット、衣装や音楽などすべての要素が美しく、このあまりに哀しい悲劇を盛り上げていく。158分とやや長尺だが、アン・リー監督が手掛けた濃厚な大人向け映画の名作だ。

 

 


監督:アン・リー

出演:トニー・レオンタン・ウェイワン・リーホンジョアン・チェン

日本公開:2008年