映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイレビュー&感想Vol.314:「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は314本目。タイトルはヨルゴス・ランティモス監督による、2018年日本公開作品「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」。特典映像としては「コリン・ファレル&バリー・コーガン インタビュー」「ニコール・キッドマン インタビュー」「ヨルゴス・ランティモス監督 インタビュー」「本国版予告編」で、計19分が収録されている。コリン・ファレルのインタビューでは「完成した作品を観て、衝撃を受けた。自分の評価は抜きにして、素晴らしい作品だと思ったよ。編集も音楽も実に見事で、監督は天才だと心から思った。社会に問題提議していて、中流階級の生活の陳腐さを非難しているみたいな作品だ。正しい行動をしないと報いがあるというテーマなのに、登場人物たちは卑怯な奴らばかりなんだよ。ヨルゴス監督の現場は特殊だったね。”セリフを優先させる”と言えばいいかな。役者としてやるべきことは全部セリフの中にあるから、”物語を支えるための演技”をしない事が求められるんだよ。」と言い、ニコール・キッドマンのインタビューでは「役者の良し悪しは正直、監督の腕にかかっているわ。ヨルゴス監督の作品に出演できるのは本当に喜ばしい事よ。彼はスタンリー・キューブリックと似ているの。何を聞いても肩をすくめるだけ。でも演出はとても的確で、内に秘めているものがある。決断力があってパワフル、だけどとても穏やかなの。それが監督の特徴ね。」と語っている。

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ヨルゴス・ランティモス監督のインタビューでは「この映画では”正義と報復”、”信念と選択”を描いた。人生で大きなジレンマに直面すると、人は何が正しくて何が間違っているかが判断できなくなるんだよ。脚本は面白い題材があって、そこから始まるんだけど、今回は父親を亡くした男の子が、父を手術した医者に疑問を持って彼なりの正義を貫こうとするという前提から、もう少し踏み込んで超自然的な要素を加えたんだ。そこから更に物語を練り直して、脚本を作り上げていったんだよ。撮影と編集のどちらが楽しいか?とよく聞かれるが、どちらも嫌いだ。ストレスが溜まるからね。脚本を書いて、物語を作る作業が一番楽しいよ。」とインタビューに答えている。


作品としては、「ロブスター」「女王陛下のお気に入り」を送り出した、ギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモス監督がメガホンを取ったサスペンススリラー。第70回カンヌ国際映画祭では、「脚本賞」を受賞していている。出演は「フォーン・ブース」「S.W.A.T.」「アレキサンダー」などのコリン・ファレル、「ムーラン・ルージュ」「LION ライオン 25年目のただいま」などのニコール・キッドマン、「エターナルズ」「アメリカン・アニマルズ」のバリー・コーガン、「クルーレス」のアリシアシルバーストーンなど。これまでも独特な世界観の作品を作り続けるヨルゴス・ランティモス節が炸裂しており、観終わった後、とてつもなくダークな気分になる映画だ。だがこれこそが、ヨルゴス監督作品の魅力であり醍醐味だろう。解釈の余地があるエンディングも含めて、個人的に大好きな作品である。

 

 


監督:ヨルゴス・ランティモス

出演:コリン・ファレルニコール・キッドマンバリー・コーガン、ラフィー・キャシディ、アリシア・シルヴァーストーン

日本公開:2018年