映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイレビュー&感想Vol.328:「間違えられた男」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は328本目。タイトルはアルフレッド・ヒッチコック監督による、1957年日本公開作品「間違えられた男」。特典映像としては、「ヒッチコックと“間違えられた男”」「オリジナル劇場予告編」で計23分が収録されている。「ヒッチコックと“間違えられた男”」では、映画監督のピーター・ボグダノヴィッチが「本作は1954年の『私は告発する』と同じく、シリアスな作品だ。実話を基にしており、ヘンリー・フォンダ演じるミュージシャンが犯人に似ていたというだけで、強盗の容疑をかけられる話だよ。まず『間違えられた男』というタイトルがいいね。無実の罪や誤認はヒッチコックの得意分野だ。内容があまりにシリアスなため、本作にはヒッチコック本人は劇中に登場しない。”観客の気が散る”という理由でね。名優ヘンリー・フォンダほど”普通の男”になり切れる俳優はいないと思うね。観客は、主人公が俳優のフォンダだということを忘れて観てしまうんだ。彼はアメリカを代表するスターであり、彼自身の人格を抑えて自然な演技ができる数少ない俳優なんだよ。」と言い、映画評論家のリチャード・シッケルは「本作はヒッチコックらしさを多く含みながらも、最もヒッチコック作品の作風から離れた作品だ。非常に興味深い作品だよ。そして本作ではカトリック教義が大きく扱われている。所持品を没収される際の”ロザリオ”などが良い例だね。また主人公が宗教画を眺めていると真犯人の姿が浮かび、そいつが逮捕されて全てに決着がつくラストの展開もそうだ。ヒッチコック作品にカトリック教はつきものだが、ここまであからさまなのは珍しいよ。」と語っている。

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作品としては、「見知らぬ乗客」「裏窓」「ハリーの災難」などのアルフレッド・ヒッチコック監督が手掛けた、ニューヨークで起きた実話をもとに作られたサスペンスで、トレードマークである監督本人の登場は冒頭のみ。”今作は事実に基づいた作品である”と語るシーンが特徴的だ。出演は「十二人の怒れる男」「ウエスタン」のヘンリー・フォンダ、「捜索者」「サイコ」のヴェラ・マイルズなど。妻の治療の為に金が必要になったマニーは、生命保険会社へ出向くが事務員に強盗犯と間違えられたことから、警察に拘束されてしまう。保釈金を支払い妻と共にアリバイ立証に奔走するが、徐々に妻の精神に異変が生じてしまうというストーリーだ。ノンフィクションのエンターテイメント作品が得意なヒッチコック監督としては、かなりシリアス寄りの作品になっており、主人公が犯人を追い詰めるといった要素もない為、ストーリーや結末の面白さに満足感を得られるタイプの作品ではないだろう。冤罪に巻き込まれていく男の行く末を淡々と描く異色作だ。ヘンリー・フォンダの演技と併せて、ヒッチコックの演出力を楽しむ作品かもしれない。

 

 

監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ヘンリー・フォンダ、ベラ・マイルズ、アンソニー・クエイル、ハロルド・J・ストーン
日本公開:1957年