映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイレビュー&感想Vol.333:「ブラック・レイン デジタル・リマスター版」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は333本目。タイトルはリドリー・スコット監督による、1989年日本公開作品「ブラック・レイン」。特典映像としては、「脚本とキャスト」「メイキング」「ポスト・プロダクション」「劇場用予告編」「出演者インタビュー」「ファン インタビュー」「松田優作オーディション映像」で計119分が収録されている。「脚本とキャスト」では、リドリー・スコット監督が「私はこれまでも『ブレードランナー』や『エイリアン』で異国的な要素を作品に取り入れてきたから、日本で刑事ものを撮ることは魅力だった。実際に日本に行ってロケ地を探したよ。高倉健シドニー・ポラックの『ザ・ヤクザ』以外、アメリカではあまり見ない俳優だが、200作品以上の出演経験がある彼との撮影は実に楽だった。豊富な経験を持ち、思いやりがあって輝きを持っている俳優だよ。」と言い、「松田優作のキャスティングを決めた時は直感だった。その確信は揺るがなかったよ。魅力的でユーモアのセンスも抜群だったから、言葉の壁も関係なかった。通訳を介して伝えようとした内容を、彼は3秒で理解していたよ。必要な脚本とキャストが揃った時点で製作の半分は終わる。計画に不備がなければ後は楽だし、キャストが良いと演出も楽しくなるんだ。」と語っている。

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主演のマイケル・ダグラスは、「80年代後半で何を一番に思い出すかと言うと、日本経済が急激に力をつけた事だ。アメリカを押しつぶすかのように信念と哲学を持って成長を続けていた。ブラック・レイン』は異文化の交錯という部分に魅せられ、それを基にした物語が面白いと思ったんだ。『ウォール街』でオスカーを獲って、次は演技の幅を広げたいと思っていたから、本作では俳優としてのイメージが壊れることを恐れずに、全く新しいタイプの役を演じられたよ。私が演じたニックは人生のすべてに失敗し、警官としての誇りも失い、倫理観も失った男なんだ。外国の俳優と共演して楽しいのは、演技で分かり合える点だ。文化や言語を超えて1つになれる。日本国民に尊敬されている高倉健との共演は本当に楽しかったね。」と答えている。

 

作品としては、「ブラックホーク・ダウン」「プロメテウス」「ハウス・オブ・グッチ」などのリドリー・スコット監督が手掛けた、アクションサスペンス。撮影監督はヤン・デ・ボン、音楽はハンス・ジマーという強力なスタッフ陣も魅力の作品だ。大阪の街を舞台に、日米の刑事たちが協力してニセ札作りを目論むヤクザを追う物語で高倉健松田優作ガッツ石松、安岡力也、國村隼小野みゆきなど日本のキャスト陣も話題となった。劇場映画としては松田優作の遺作でもある。アメリカ人俳優としては「危険な情事」「ディスクロージャー」などのマイケル・ダグラス、「アンタッチャブル」のアンディ・ガルシア、「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」のケイト・キャプショーなど。大阪の街が近未来のように撮られた映像美は、撮影監督であるヤン・デ・ボンの功績だろう。松田優作の怪演も素晴らしく、本作の撮影時点で癌に侵されている事を知ったらしいが、延命治療を拒みながらの撮影だったようだ。リドリー・スコットフィルモグラフィーとしてはやや異質だと思うが、バブル絶頂期の日本描写も興味深い、「ハリウッド×日本」の貴重な一作だろう。

 

 

監督:リドリー・スコット
出演:マイケル・ダグラスアンディ・ガルシア高倉健松田優作
日本公開:1989年