映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイレビュー&感想Vol.337:「デトロイト」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は337本目。タイトルはキャスリン・ビグロー監督による、2018年日本公開作品「デトロイト」。特典映像としては、「日本版予告編」のみ。ハートブルー」「ハート・ロッカー」「ゼロ・ダーク・サーティ」のキャスリン・ビグロー監督が手掛けた、社会派ドラマで、デトロイト暴動の発生から50年を迎える節目の年での公開となっている。日本では“本年度アカデミー賞最有力!”というキャッチコピーが躍っていたが、作品の質の高さとは裏腹に、ゴールデングローブ賞も含めて賞レースからは完全にスルーされたのも記憶に新しい。出演は「アタック・ザ・ブロック」「スター・ウォーズ フォースの覚醒」のジョン・ボイエガ、「レヴェナント 蘇えりし者」「ミッドサマー」のウィル・ポールター、「シング・ストリート 未来へのうた」のジャック・レイナー、「アベンジャーズ エンドゲーム」のアンソニー・マッキー、「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」のアルジー・スミスなど。1967年のデトロイト暴動のさなかに実際に起きた「アルジェ・モーテル事件」を描いた作品である。

f:id:teraniht:20230123195530j:imagef:id:teraniht:20230123195534j:image

1967年7月。デトロイト暴動の発生から3日目の夜、若い黒人客たちで賑わうアルジェ・モーテルで、ある黒人青年がモーテルの窓からオモチャの銃を鳴らしたことで、狙撃されたと勘違いした白人警官たちが建物に突入。逃げようとした青年を射殺したことをきっかけに、偶然モーテルに居合わせた若者たちへ暴力的な尋問が開始される。やがて、それは異常な“死のゲーム”へと発展していくのだったというストーリーで、公開当時、「《衝撃の40分》を体感せよ!!」と宣伝されていたが、白人警官による黒人たちへの暴力的な尋問は、観ていて辛くなるほどのリアリティで描かれている。これはキャスリン・ビグロー監督の手腕だろう。特に白人警官のリーダー”クラウス”を演じた、ウィル・ポールターが強烈な個性で悪役を演じており、本作でもっとも印象深い俳優だ。鑑賞していてこの役者を本当に嫌いになりそうになるが、それはそれだけ彼が上手いという事だろう。上映時間が142分もある上に決して後味の良い結末ではない作品だが、レイシストたちの暴力事件と、黒人たちが社会から受けていた理不尽な差別の数々は、観ていて胸に刺さる。ハート・ロッカー」「ゼロ・ダーク・サーティ」に続くキャスリン・ビグロー監督作としては、あまり世評の高くない作品かもしれないが、映画としてのクオリティとしても他とは一線を画す、非常に特別な作品になっていると思う。

 

 

監督:キャスリン・ビグロー
出演:ジョン・ボイエガ、ウィル・ポールター、ジャック・レイナー、アンソニー・マッキー、アルジー・スミス
日本公開:2018年