映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は338本目。タイトルはキャスリン・ビグロー監督による、1988年日本公開作品「ニア・ダーク/月夜の出来事」。特典映像としては、「リヴィング・イン・ダークネス(メイキング映像)」「未公開シーン」「オリジナル予告編集」で、計53分が収録されている。メイキング映像では、キャスリン・ビグロー監督が「本作の脚本は、西部劇とホラー映画のハイブリッドという発想に、性的な要素の強いヴァンパイア神話を加えたの。ロマンチックとノスタルジックが融合したら面白いだろうなとね。ヴァンパイアの特性でもっとも面白いと思ったのが、”日光を浴びると肌が焼ける”というものだった。もっとも強い影響を受けたのは、ブラム・ストーカーの小説”ドラキュラ”だけど、十字架などのゴシック要素は排除しつつ、意識的に設定やルールを変更してオリジナル作品にしたわ。」と言い、「かなり大変な撮影だった。約40日間、夜と昼の撮影が続いたの。それなりの規模の映画では、初めて単独での監督作だったしね。インデペンデントだけど、キャストも多くスタントや特殊効果もあったから、新人の私にはものすごい大作のようだったわ。」と語っている。
出演のビル・パクストンは、「脚本を読んで、すごく面白い現代的なヴァンパイアものだと思った。”ボニー&クライド”みたいに逃走時に銃撃戦も繰り広げる、現代のヴァンパイアたちの物語だよ。興奮して、ランス・ヘンリクセンに”ぜひ読んで欲しい脚本がある”と電話したよ。彼には”ジェームズ・キャメロン監督の『エイリアン2』に出たあとに、B級映画はやめたほうがいいだろ”と言われたが、それでも読んでみてくれと伝えたんだ。翌日に、”確かにこれは出演すべき作品だ”と連絡がきたよ。キャスリン・ビグローは、アクションを監督できる女性の先駆けで、それに誇りを持っていたね。とても熱意があって、役者とも前向きに関わっていく監督だよ。」と答えている。
作品としては、「ハートブルー」「ストレンジ・デイズ」「K-19」などのキャスリン・ビグローが手掛けたヴァンパイア映画で、本作が単独監督デビュー作となる。出演は「カリートの道」のエイドリアン・パスダー、「バーチャル・ウォーズ」のジェニー・ライト、「エイリアン2」のランス・ヘンリクセン、「ツイスター」のビル・パクストン、「ターミネーター2」のジェニット・ゴールドスタインなど。今観ると、どうしてもチープなB級感は否めないが、それでもキャスリン・ビグロー監督らしい印象深いショットの数々が楽しめる。「攻殻機動隊」の押井守監督がお気に入り作品リストに入れていたが、特にビル・パクストンが主人公に襲い掛かるラストシーンは、「ターミネーター」を彷彿とさせる名シーンだ。オスカー監督の処女作として、興味深い一作だろう。
監督:キャスリン・ビグロー
出演:エイドリアン・パスダー、ジェニー・ライト、ランス・ヘンリクセン、ビル・パクストン、ジャネット・ゴールドスタイン
日本公開:1988年