映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイレビュー&感想Vol.339:「若者のすべて」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は339本目。タイトルは監督による、1960年日本公開作品「若者のすべて」。特典映像としては、「オリジナル予告編」のみ。封入特典として、若菜薫氏/和田忠彦氏による解説リーフレットが同梱されている。郵便配達は二度ベルを鳴らす」「山猫」「ベニスに死す」などで有名な、イタリアの名匠ルキノ・ヴィスコンティ監督が手掛けたヒューマンドラマで、ヴェネツィア国際映画祭では「審査員特別賞」を受賞している。出演は「太陽がいっぱい」「冒険者たち」「サムライ」などのアラン・ドロンベルナルド・ベルトルッチの監督作「ある愚か者の悲劇」が遺作となったレナート・サルヴァトーリ、ミヒャエル・ハネケ監督「隠された記憶」などのアニー・ジラルドフェデリコ・フェリーニ監督「8 1/2」のクラウディア・カルディナーレなど。

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作品としては、成功を夢見てミラノにやって来たイタリア南部の貧しい家族が、都会で待ち受ける過酷な現実に巻き込まれていく様子を、177分という長尺で描いたモノクロ作品だ。ロッコと彼の兄弟たち」という原題のとおり、未亡人とその4人の息子たちがこの物語の中心になっている。特にアラン・ドロン演じるパロンディ家の三男ロッコと、レナート・サルヴァトーリ演じる次男シモーネの確執がストーリーの推進力で、ナディアを巡る三角関係も見どころの一つになっている。嫉妬のあまり暴走していくシモーネと、ボクサーとして成功していくロッコ、そして真っ当に人生を歩み続ける四男チーロが最後にとる行動と、彼のロッコについて語るセリフなどは秀逸で、”壮大なる叙事詩”として最後まで飽きさせない。アラン・ドロンの美しさは言わずもがなだが、貧困層の庶民を描いているにも関わらず、彼らのファッションもお洒落でそれを眺めているのも楽しい一作だ。ルキノ・ヴィスコンティ作品ではなぜか、代表作でもある「ベニスに死す」がブルーレイ化されていないが、「家族の肖像」「ルートヴィヒ」「山猫」などは日本版がリリースされていて、比較的日本でも観やすい作家だろう。「若者のすべて」はヴィスコンティ自身お気に入りの一本らしいが、改めて素晴らしい作品であった。

 

 

監督:ルキノ・ヴィスコンティ
出演:アラン・ドロンアニー・ジラルド、レナート・サルヴァトーリ、クラウディア・カルディナーレ、カティーナ・パクシヌー
日本公開:1960年