映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.352:「チャンス 30周年記念版」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は352本目。タイトルはハル・アシュビー監督による、1981年日本公開作品「チャンス(原題:BEING THERE)」。特典映像としては「イレーナ・ダグラス“チャンス”を語る」「未公開シーン集」「NG集」「もうひとつのエンディング」「オリジナル劇場予告編」で、計26分が収録されている。「イレーナ・ダグラス“チャンス”を語る」では、メルヴィン・ダグラスの孫であるイレーナ・ダグラスが、「『チャンス』は素晴らしい映画だわ。私はこの映画で初めて撮影現場を見たの。出演している祖父に会うために父と訪れたのよ。ピーター・セラーズは『ピンクパンサー』で良く見てたけど、こんな名作になるとは考えもせずにワクワクしてたわね。主人公のチャンスは主人が死んだため、外の世界を全く知らないのに、屋敷を出て世間に放り出されるの。冒頭は妙な映画だと思ったわ。」と言い、「この映画に祖父を推薦したのはピーター・セラーズなのよ。当初は別の俳優が演じる予定だった。二人は祖父が従軍した時に、英軍のピーターに出会ってからの友人だったのよ。この映画には優れたショットが多いわ。今の作品と違ってクローズアップが少ないの。だから背景や景観の壮大さが良く分かる。美しい映像だわ。」と語っている。また「この作品は変わってる。まさにハル・アシュビー映画ね。とても奥が深いの。もともとは映画編集者だったんだけど、映画監督としても素晴らしかったことが、この作品で感じられる。あのラストシーンを観て思ったの。”私もこの作品みたいに特別な映画を作ってみたい”ってね。公開当時は社会風刺のコメディだったけど、今観るとドキュメンタリーみたいね。この映画は年と共に理解が深まる作品なのよ。」と答えている。

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作品としては、「さらば冬のかもめ」「帰郷」「ハロルドとモード 少年は虹を渡る」などのハル・アシュビー監督が手掛けた、ヒューマン風刺コメディ。屋敷の外を知らずテレビだけを楽しみに生きてきた男チャンスが、主人を亡くしたことで町をさまようことになるが、ひょんな事からチャンスは財界の大物ベンジャミンと知り合う。あまりに無垢な心を持つチャンスは、ベンジャミンや彼の妻を次々と虜にしていき、遂にはメディアをも巻き込んで、アメリカ大統領候補にまでなってしまうという内容だ。出演は「ロリータ」「博士の異常な愛情」「ピンク・パンサー」のピーター・セラーズ、「アパートの鍵貸します」「愛と追憶の日々」のシャーリー・マクレーン、「チェンジリング」のメルヴィン・ダグラスなど。社会風刺コメディとして今でも高い評価を得ている本作は、ハル・アシュビー監督を代表する1本だろう。あの印象に残るラストシーンは、サム・メンデス監督の2023年公開「エンパイア・オブ・ライト」の作品内でも取り上げられていたが、何年経っても色あせないインパクトを残していると思う。

 

 


監督:ハル・アシュビー

出演:ピーター・セラーズシャーリー・マクレーン、メルヴィン・ダグラス、ジャック・ウォーデン、リチャード・ダイサート

日本公開:1981年