映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は361本目。タイトルはヴィム・ヴェンダース監督による、1985年日本公開作品「パリ、テキサス」。特典映像として、「オリジナル予告編」「8mmカメラ映像」「カンヌ国際映画祭にて」「コメンタリー付未公開映像」「クレール・ドニ(助監督)とケント・ジョーンズ(映画評論家)の対談」「アリソン・アンダース(製作助手)へのインタビュー映像」で計83分が収録されている。「クレール・ドニ(助監督)とケント・ジョーンズ(映画評論家)の対談」では、助監督が「最初に『モーテル・クロニクルズ』という原案があって、特に監督はその中にある”車内で少年が眠っている場面”を、この映画で使いたかったみたい。恐竜の像が見える場面ね。『パリ、テキサス』の原点はその場面だと思う。脚本はいろんな展開が想定されていたけど、私がプロジェクトに参加した時点では、結末はまだ書かれていなかった。最終稿とはほぼ別物で、ヒューストンの銀行シーンなども一切なかったわ。撮影の間に何度も脚本は練り直されたの。当時の私たちは結末の確信がないままに『パリ、テキサス』を作っていたわ。」と語っている。
また「撮影は資金面で、3度ほど中断した。でも撮影の終わるころ監督は、”中断は最初から分かっていた。何度も撮影が止まって困難に見舞われるのはありがたいよ、おかげで脚本を練る時間が稼げるからね”と言っていたわ。窮地は監督にとって一種の活性剤みたいだった。それでも、ナスターシャ・キンスキーとの撮影は1週間しかなく、ハードスケジュールだったわ。」と語っている。さらに「ベルリンで編集に入ったときは、音楽担当はボブ・ディランだと聞かされていた。でも予算は使い果たしていて監督は無一文だったから、ボブ・ディランには依頼できなくなったし、カンヌ映画祭への出品時期も迫っていたの。すると突然、監督がライ・クーダーに依頼することを思いつき、彼に映画を観せたの。そこから翌々日には曲を録音してたわ。録音はたった一日で仕上げたの。ノンストップであっという間だった。カンヌでは作品の持つ力がすべての観客に伝わっているようで、特別な体験だったわ。」と答えている。
作品としては、「ベルリン/天使の詩」「アメリカの友人」「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のヴィム・ヴェンダース監督が手掛けた、ロードムービーで、第42回ゴールデングローブ賞では「最優秀外国語映画賞」、第37回カンヌ国際映画祭では「パルムドール」を受賞している。出演は主人公トラヴィスを「レポマン」「プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角」などのハリー・ディーン・スタントン、妻役を「テス」「ワン・フロム・ザ・ハート」のナスターシャ・キンスキーが務めている。また音楽をスライド・ギターの名手であるライ・クーダーが担当しており、その後ヴィム・ヴェンダースとライ・クーダーは「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」という、キューバ音楽のドキュメンタリー映画を製作することになる。テキサスの荒野を放浪する孤独な男と、その妻子との再会と別れを情感豊かに描いたロードムービーの名作であり、ヴィム・ヴェンダースの代表作の1本だろう。最近、2Kレストア版ブルーレイも発売になっており、そちらも気になっている。
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:ハリー・ディーン・スタントン、ナスターシャ・キンスキー、ハンター・カーソン、ディーン・ストックウェル
日本公開:1985年