映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.365:「ラストタンゴ・イン・パリ オリジナル無修正版」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は365本目。タイトルはベルナルド・ベルトルッチ監督による、1973年日本公開作品「ラストタンゴ・イン・パリ」。特典映像としては、「オリジナル劇場予告編」のみ。「暗殺の森」「ラストエンペラー」「シェルタリング・スカイ」などで有名な、イタリアの巨匠ベルナルド・ベルトルッチが手掛けたエロティックドラマ。出演は「ゴッドファーザー」「スーパーマン」「地獄の黙示録」などのマーロン・ブランド、「ジェイン・エア」のマリア・シュナイダー、「男性・女性」「ウイークエンド」のジャン=ピエール・レオなど。第46回アカデミー賞では「監督賞」「主演男優賞」、第31回ゴールデングローブ賞「作品賞(ドラマ部門)」「監督賞」にノミネートしている。1970年代の映画としては、相当に過激な性描写シーンが世界中で話題となり、世界初の描写となったバターを使った”あの場面”では、カトリックの祈りの言葉を発しながらの行為だった為に、本国イタリアでは公開後4日にして上映禁止処分を受けている。

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ある中年男が妻が自殺したばかりで人生に絶望しており、自暴自棄の生活を送っていたが、ある日アパートの空き部屋で若い娘ジャンヌと出会い、彼女を凌辱する。だが2人はそのアパートの空き部屋で密会し続け、傷つけ合いながらも互いの肉体におぼれていく、というストーリー展開だ。主演のマーロン・ブランドにとって辛い出演作だったらしく、後日「役者として拷問のような体験だった」と語っており、ヒロイン役のマリア・シュナイダーも、オールヌードで挑んだ本作に出演した事は「人生最大の痛恨だ」と語っているらしい。後年の監督インタビューでは、マリア・シュナイダーには事前告知せず、レイプシーンの撮影を行ったなどの発言が物議を醸し(後から声明にて否定)、これには批判的な反響が起こっている。とはいえ終盤、マーロン・ブランドが妻の亡骸の前で涙を見せるシーンは非常に印象的で、この場面があることで単にエロティックなシーンだけが売り物ではない、ベルトルッチ監督作の中でも印象的に映画となっている。またオープニングのフランシス・ベーコンの絵に被さって流れるサックスをフォーカスした曲など、ガトー・バルビエリによるサントラも素晴らしい。何度も観返したくなるタイプの作品ではないが、デタラメで破壊的な行動に憑りつかれた、マーロン・ブランド演じる哀れな中年男の結末も含めて、記憶に残る一作だと思う。

 

 

監督:ベルナルド・ベルトルッチ
出演:マーロン・ブランドマリア・シュナイダー、ジャン=ピエール・レオ、マッシモ・ジロッティ、マリア・ミキ
日本公開:1973年