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見逃し厳禁!次に観るべきオススメ映画10本はこれだ!(50~60年代洋画サスペンス編)Vol.2

次に観るべき映画10本はこれだ!(50~60年代洋画サスペンス編)Vol.2

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今回は時代を遡って、1950~1969年に公開されたサスペンスジャンルに絞ってご紹介!50年以上も昔の作品ながら、スルーするには勿体ない、強くオススメしたい映画を10本ピックアップしました。1951年アカデミー作品賞で6部門を受賞した「イヴの総て」から始まり、アルフレッド・ヒッチコックも「めまい」「サイコ」の代表的な作品ではなく、やや見逃しがちな「見知らぬ乗客」をチョイス。アンリ=ジョルジュ・クルーゾーの「悪魔のような女」や「穴 LE TROU」「昼顔」のようなフランス作品からも選出。さらに基本的には配信やソフト化されていることを前提に、わりと観やすい作品から選出しています。ぜひ今後の作品選びの参考に!第三弾以降も順次公開していく予定です。

 

 

イヴの総て

1951年アカデミー賞で、「作品賞」「監督賞」「助演男優賞」など6部門に輝いた不朽の名作。女優に憧れる若き女性が、ベテラン女優を踏み台に業界でのし上がっていく姿を描く演劇界の内幕もので、ヒューマンドラマをベースにしながら、かなりサスペンスフルな展開が楽しめる。冒頭からラストまで計算され尽くした演出で、今観てもまったく飽きさせない。特に女優ベティ・デイヴィスの演技が圧巻である。

「見知らぬ乗客」

アルフレッド・ヒッチコック監督が、「太陽がいっぱい」のパトリシア・ハイスミスの同名小説を映画化した作品。電車で乗り合わせた男と「交換殺人」を約束してしまったテニスプレイヤーが、段々と追い詰められていくという突拍子もない設定にも関わらず、ツイストを効かせた脚本のおかげで先が読めない展開が楽しめる。ヒッチコック作品でも「サイコ」「裏窓」「めまい」などに比べると、ややマイナーかもしれないが必見のサスペンスだろう。

現金に体を張れ

スタンリー・キューブリックの記念すべきハリウッド・デビュー作であり、競馬場から200万ドルを強奪する計画を立てた、5人の男たちの顛末を描いたクライムサスペンス。時系列を入れ替えながら一つの物語を語っていくという手法は、クエンティン・タランティーノ監督の「パルプ・フィクション」に影響を与えているし、ピエロのマスクを被って強盗に入るシーンは、クリストファー・ノーラン監督の「ダークナイト」を強烈に想起させるなど、後世の作品にも強い影響を与えた作品だろう。

 

 

悪魔のような女

「恐怖の報酬」で有名なアンリ・ジョルジュ・クルーゾーが監督した、フランス産サスペンススリラー。中盤からまったく先が読めなくなる展開と、最後のドンデン返しに驚かされる正統派サスペンスだ。横暴な行動の数々で妻を苦しめる、夫の殺害計画を立てた妻と愛人の顛末を描いていくが、登場人物と共に観客も一緒になって”ある状況”に混乱するだろうし、オチにはホラー的な怖さもある。アルフレッド・ヒッチコックが嫉妬したという傑作だ。

「穴 LE TROU」

1960年のフランス映画で、名匠ジャック・ベッケル監督の遺作。パリのサンテ刑務所で実際に起きた脱獄事件をテーマに作られた、クライムサスペンス。サンテ刑務所に収監されている4人の囚人が、地下に穴を掘って脱獄する計画を練っているが、そこに若い囚人が入ってくることで、運命が狂っていく様を描いている。”脱獄もの”ジャンルとしてもスリリングで面白い上に、登場キャラクター同士の心理戦もあって見応えのあるサスペンス映画になっている。

「殺人者たち」

ダーティハリー」のドン・シーゲル監督が制作したアメリカ映画で、アーネスト・ヘミングウェイの短編小説「殺人者」の映画化。ダークスーツと細いネクタイという「レザボア・ドッグス」などの殺し屋的なイメージは、この映画が元ネタだろう。クルー・ギャラガーとリー・マーヴィンのハードボイルドな佇まいも大きな魅力の一作だ。もともとはテレビ映画として製作されたが、当時としては過激すぎる暴力描写が問題となり劇場公開された作品でもある。

 

 

バージニア・ウルフなんかこわくない

同名舞台劇をエリザベス・テイラー主演で映画化し、第39回アカデミー賞で「主演女優賞」「助演女優賞」「撮影賞」など5部門に輝いている会話劇。夜遅くにパーティから帰ってきたジョージ&マーサ夫婦の元に、生物学教師ニックとその妻ハニーという若い夫婦が訪ねてくる。そこから始まった口論は激しい罵り合いへと発展し、4人を巻き込んで事態は思わぬ方向へと展開していくというストーリーで、ひたすら2組の夫婦の口論が続くだけの作品だが、膨大なセリフの中から、今でも通用するさまざまな夫婦問題が浮き彫りになる展開は面白い。

太陽がいっぱい

禁じられた遊び」のルネ・クレマン監督と主演アラン・ドロンの代表作。1999年にはマット・デイモン主演で、「リプリー」というリメイク作も公開されている。本作でもあまりに美しい容姿をみせるアラン・ドロンは、本作で世界的なスターになった。主人公トムが詐欺と殺人を繰り返していく、いわゆるピカレスク・サスペンスだが、この作品もラストショットがあまりに有名だろう。ニーノ・ロータが手掛けた音楽も素晴らしい。

「反撥」

「チャイナタウン」「戦場のピアニスト」などのロマン・ポランスキー監督が手掛けた、1965年の心理サスペンス。主演は「シェルブールの雨傘」のカトリーヌ・ドヌーヴ。男性恐怖症の主人公が、同居する姉とその恋人のセックスに悩まされる内、次第に精神を病んでいくというストーリーだが、壁から飛び出す男たちの腕の描写など、近作でも「ラストナイト・イン・ソーホー」などに強い影響を与えていた。女性主人公が、精神的に追い込まれていくサイコホラー的な怖さも堪能できる、優れた一本。

「昼顔」

こちらもカトリーヌ・ドヌーブ主演作品。監督は「皆殺しの天使」「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」などの名匠ルイス・ブニュエル。裕福な医者との結婚生活で何不自由ない暮らしを送る主人公だったが、その一方で不感症のため強い性的妄想にとらわれており、遂にはパリにある娼館で”昼顔”という源氏名で働くことになる、というストーリーだが、現実と妄想が曖昧になっていく展開と、見る人によって様々な解釈の出来るラストの幕引きによって、本作はルイス・ブニュエルらしい”不条理劇”展開が楽しめる作品になっている。