映画を観て音楽を聴いて解説と感想を書くブログ

エンタメ系会社員&バンドマンの映画ブログです。劇場公開されている新作映画の採点付きレビューと、購入した映画ブルーレイの紹介を中心に綴っていきます!

映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.496:「イノセント」

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は496本目。タイトルはルキノ・ヴィスコンティ監督による、1979年日本公開(イタリア公開:1976年)作品「イノセント」。特典映像としては、「オリジナル予告編」のみ。また石田美紀氏(映像文化論研究者/新潟大学准教授)による、”作品解説文収録リーフレット”が同梱されている。「ベニスに死す」「若者のすべて」「ルートヴィヒ」「家族の肖像」などで有名なイタリアの巨匠ルキノ・ビスコンティ監督による、人気作家ガブリエーレ・ダヌンツィオの「罪なき者」の映画化だ。ちなみに本作はビスコンティの遺作でもある。出演はイタリア人俳優で「セブン・ビューティーズ」などに出演しつつも、2001年に出演したリドリー・スコット監督の「ハンニバル」におけるパッツィ刑事役で世界中から注目されたジャンカルロ・ジャンニーニや、「青い体験」でセックス・シンボルとなったラウラ・アントネッリデヴィッド・クローネンバーグの「スキャナーズ」でも有名なジェニファー・オニールなど。

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作品としては、20世紀初頭のローマでトゥリオ伯爵は、ジュリアーナという従順な妻がありながらその妻を置き去りにして、未亡人の伯爵夫人テレーザとの情事を楽しむような日々を過ごしている。しかしそんな彼を待っていたのは、妻ジュリアーナの浮気と妊娠という信じられない事実だった。結果、嫉妬と狂気に駆られたトゥリオは”ある許されない行動”に出てしまうというストーリーで、ヴィスコンティ監督がイタリア上流階級の官能的な愛憎ドラマを描いた作品だ。ルキノ・ヴィスコンティ映画の中ではやや評価の低い一作のようだが、貴族階級独特の強烈なナルシストでありエゴイストな”トゥリオ伯爵”というキャラクターや、美しくも絢爛な撮影など観るべき点の多い作品だろう。タイトルの「イノセント」が皮肉に響くほどのドロドロの愛憎劇で、ヴィスコンティの遺作として異彩を放っている。

 

 

監督:ルキノ・ヴィスコンティ
出演:ジャンカルロ・ジャンニーニラウラ・アントネッリジェニファー・オニール、ディディエ・オードパン
日本公開:1979年(イタリア公開:1976年)