映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は503本目。タイトルはバンジョン・ピサンタナクーン監督による、2022年日本公開作品「女神の継承」。特典映像としては「メイキング映像(プロジェクトの出発点/企画のはじまり/ミンについて/世界観/狂乱の儀式/憑依演技の裏側/日本版予告編)」で、約22分が収録されている。「メイキング映像」では、プロデューサーのナ・ホンジンが「『哭声/コクソン』のあと続編として、(ファン・ジョンミンが演じていた)祈祷師イルグァンの物語を思いつきました。彼のバックグラウンドを別の場所、別の人物で語りたかったのです。またこの映画にはリアリティのある映像が不可欠で、それを撮れる監督と、舞台も雨が多くて深い森があり、未舗装の道路がある場所が必要でした。本作では”霊能力の継承という一族の定めと”神が継承者を選ぶ”という不確かな未来、この2つが衝突する様子を描きたかったんです。あらゆる内容について話し合いましたよ。映画は美しく芸術的な映像から始まり、恐ろしくも心惹かれる終焉を迎えます。プロ意識の高いスタッフの手によって、スタイリッシュに表現できましたね。”映画館で観る価値があるか?”と聞かれたら、”もちろんだ”と答えたいです。ぜひ映画館で他の観客と一緒に本作を楽しんでもらいたいですね」と語っている。
また監督のバンジョン・ピサンタナクーンは、「原案の舞台は韓国でした。韓国の祈祷師の物語だったんです。タイの民間信仰と似ている部分が多くて驚きました。ホラー映画は久しぶりでしたね。本作は過去の作品とはまったく違う、新しいホラー映画です。そして、この映画には壮大な景色が必要でした。結果的に選んだのは、イサーン地方のルーイ県です。神聖な雰囲気が欲しかったから、1年間現地に滞在して調査を行いました。30人以上の祈祷師に会い、専門家に助言を仰いだのはリアルな世界を作るためです。ナ・ホンジンは最高を求め、観る者を圧倒する雰囲気を求めていました。新次元の挑戦でしたよ。そして役者にもリアリティが必要でした。ニム役にはサワニー以外考えられなかったし、ナリルヤには1か月で10キロ痩せてもらいました。彼女が役に決まり、世界観がより鮮明になりましたね。ナ・ホンジンと私の最高傑作であり、これまでにないタイプの斬新な恐怖がある映画です。」と答えている。
作品としては、「チェイサー」「哭声/コクソン」の監督であるナ・ホンジンが原案/プロデュースを行い、「心霊写真」「愛しのゴースト」などを撮ったタイ出身の映画監督バンジョン・ピサンタナクーンがメガホンを取ったタイ/韓国の合作ホラー。POVの主観ショットがややノイズになっている点は否めないが、「エクソシスト」などの名作オマージュに溢れた、湿度の高いホラー映画として楽しめる。特に段々と憑依されていく、ナリルヤ・グルモンコルペチの身体を張った女優魂には驚かされた。
監督:バンジョン・ピサンタナクーン
出演:ナリルヤ・グルモンコルペチ、サワニー・ウトーンマ、シラニ・ヤンキッティカン、ブンソン・ナークプー
日本公開:2022年