映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は507本目。タイトルはジョエル&イーサン・コーエン監督による、2013年日本公開作品「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」。特典映像としては「予告編集」「インサイド『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』」で、計48分が収録されている。監督のジョエル&イーサン・コーエンは、「アメリカの伝統的な音楽が好きなんだ。その音楽がフォーク・リバイバルを生んだ。アイデアを議論するうちに、”デイヴ・ヴァン・ロンク”を扱った作品なら面白いと思いついたんだよ。彼がストリートで殴られるシーンとか笑えるよね。最初は設定に迷走したが、そういうのもありかなって話になったんだ。1961年というボブ・ディランが登場する前の時代設定にした理由は、その後だと彼の話題は避けられないからだ。彼は時代を支配した人だから、このテーマの作品なら絶対に描く必要があるからね。ディランの登場でフォークシーンは変わり、世間の人々が知るところになった。だから映画の設定としては、シーンが開拓される前の方が未知の領域で面白いと思ったんだ。」と言い、「1人の主人公を追う物語だから配役が問題だった。この主人公はどのシーンでも中心の存在だし、劇中で実際に歌える俳優が必要だったんだ。1曲フルで歌えるような人だよ。探したのは役に合っていてミュージシャンでもある俳優だが、簡単には見つからなかった。両方を備えた人はいないと諦めかけたよ。だがオスカー・アイザックのテープを見て、宇宙で一番ツイてると思ったね。」と語っている。
主演のオスカー・アイザックは「僕は12歳から音楽をやっててギターを弾いていた。僕の友達はヴィレッジで演奏活動をしてたから、本作に備えて彼と一緒に練習したんだが、”君は20年来のギター所持者だが、実際に弾き始めたのは7か月前なのか?”と聞かれたよ。演奏や作曲はしてきたけど、フォーク独特の演奏スタイルは知らなかったからね。ルーウィンは本来カリスマ性がありポジティブだが、映画の中の状況では違う。彼は自分の存在意義に疑問を感じているけど、バスター・キートンみたいに喜劇的な回復力を見せるんだ。困難にぶち当たりながらも音楽を愛し、魂を表現しようと頑張ってるんだよ。コーエン兄弟の作品に共通するのは、”人生は辛いが、それが生きること。そして天のいたずらを理解することが悟り”なんだ。」と答えている。
作品としては、第86回アカデミー賞では「撮影賞」「録音賞」にノミネートされ、第71回ゴールデングローブ賞では「作品賞(ミュージカル・コメディ部門)」「主演男優賞」「主題歌賞」を含む3部門にノミネートされている。出演はオスカー・アイザック、キャリー・マリガン、ジョン・グッドマン、ジャスティン・ティンバーレイクなど。1961年のニューヨークで活動していた、フォーク歌手デイヴ・ヴァン・ロンクの自伝をヒントに彼の1週間を描いている。監督は「ファーゴ」などのジョエル&イーサン・コーエンで、実在のシンガーをテーマにした作品という意味で、コーエン兄弟としては珍しいタイプの一作になっている。主演のオスカー・アイザックが自ら歌って撮影したシーンは魅力的で、フォークをテーマにした映画サントラも素晴らしい。
監督:ジョエル&イーサン・コーエン
出演:オスカー・アイザック、キャリー・マリガン、ジョン・グッドマン、ギャレット・ヘドランド、ジャスティン・ティンバーレイク
日本公開:2013年