映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は510本目。タイトルは ペク監督による、2016年日本公開作品「ビューティー・インサイド」。特典映像としては、「その男キム・ウジン」「その女ホン・イス」「胸のときめき」「作業室」「彼らの恋愛」「ハン・ヒョジュ来日インタビュー」「日本版予告編」で、計53分が収録されている。「作業室」では、プロデューサーのパク・テジュンが「本作の原案である『ソーシャル・フィルム』はネットで配信されている、6つのエピソードから成る全編40分の動画広告でした。その広告を見たペク監督が面白いからと、ヨンフィルムの代表に視聴を勧めたんです。映画化の構想はそれがきっかけでした。脚本は放送業界で著名な脚本家を制作に引き入れて、台本の制作には情熱的に取り組みましたね。また大勢の人が演じる為、ウジン役を選ぶ作業には苦労しました。エンドクレジットで、ウジンのキャラクターを務めた俳優として124人の名前が流れますが、ウジンの配役は大事なポイントでした。124人を同一人物として演出するのも難しいですが、俳優による演技自体も大変だったと思います。」と語っている。
またペク監督は「私は本作を撮る前からCM制作に携わってきました。一般の人や観客の皆さんと比べたら、海外の広告に接する機会などが多かったんです。国際広告祭グランプリを受賞するずっと前に、本作の原案を見つけましたが、型破りな広告フォーマットに驚きましたし、純粋にファンになりました。ただ原案をそのまま再現しようとは思わなかったですね。原案では主人公がヒロインに秘密を打ち明けて、結ばれるところでハッピーエンドになりますが、私は主人公たちの”その後”の物語に興味が湧いたんです。毎日外見の変わる主人公の状態が、もしずっと続いたらどんな展開になるのか?そこに目を向けたんです。」と言い、「演じる俳優たちには、ウジンの性格について同じように説明しました。”ウジンは孤立した生活を送り、対人関係の苦手な自分が積極的になることで傷つくのを恐れている。そのため消極的で引っ込み思案な性格なんだ。常に守りの姿勢で感情を表に出さないという性格だけは、しっかり押さえて演技してほしい”と念を押しましたね。」と答えている。
作品としては、眠りから覚めると性別/年齢/国籍を問わず外見が変わってしまう主人公と一途な女性の恋愛を描いた韓国映画で、ファンタジックなラブストーリーだ。監督はこの後、「毒戦 BELIEVER 2」を手掛けた、ペク・ジョンヨル。ヒロインのイス役は、「監視者たち」や韓国リメイク版「ゴールデンスランバー」などのハン・ヒョジュが演じ、124人もの俳優が演じたウジンには「コンクリート・ユートピア」のパク・ソジュン、「オールド・ボーイ」のユ・ヨンソク、「怪しい彼女」のイ・ジヌクなどが名を連ねている。また日本人俳優として、上野樹里が出演していることでも話題になった。荒唐無稽なストーリーながら今でもファンの多い作品で、観終わった後の満足感は高い。ただ恋愛は”外見ではなく中身が大事だ”というテーマ設定はそもそも難しいものがあり、本作でもそれを完全にクリアしているとは言い難いと感じる。ただし、ヒロインを演じたハン・ヒョジュの魅力は本作に大きく貢献していると思う。