映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は514本目。タイトルはジャン・エルマン監督による、1968年日本公開作品「さらば友よ」。特典映像としては「ジャン・エルマン監督インタビュー」「予告編」「さらば友よ(フランス語版)」で、計152分が収録されている。また封入特典としてはポストカードが入っている。「ジャン・エルマン監督インタビュー」では、「『さらば友よ』を1967年に撮る前に、30本あまり短編映画を撮っていたんだ。ヴィンセント・ミネリやロベルト・ロッセリーニ、『パリはわれらのもの』でジャック・リヴェットの助手も経験していたしね。それで長編を撮るという野心があったんだ。『さらば友よ』の映画化には思いがけず、私にチャンスが訪れた。いくつもの出会いが重なって実現したんだよ。最初はセバスチアン・ジャプリゾとの出会いで、映画を作るならミステリーという考えが共通していて、飲み友達になったんだ。そんな彼が書いたのが、『さらば友よ』の草案だった。こうして製作者探しが始まったんだよ。ただ当時のジャプリゾは脚本家として無名だったから難航した。だがそれも見つかり、理想のキャスティングを考え出したんだ。主役はアラン・ドロン、もう一人はアメリカ人俳優で徹底的に対立し、殴り合いをするコンビを望んだよ。そしてアラン・ドロンを口説き落としたんだ。だが相手も有名スターを要求されたよ。」と語っている。
また「ハリウッドに行ってチャールズ・ブロンソンと契約できた時は大喜びだったね。全てが順調だったよ、撮影がライバル意識に支配されてたのを覗いてはね。興行的には大成功だったがライバル意識が無ければ、さらにいい映画になっていたはずだ。もちろんそれは映画のテーマでもあったが、2人のアップの数を同じにする必要があったんだ。そうしないと憎しみが生まれると感じたからね。いつもピリピリした空気があったよ。ブロンソンはフランスに偏見を持っていて、我々を無作法で粗野だと思っていた。分かり合えなかったんだ。アラン・ドロンも怒りっぽい性格で、撮影が進まない時など撮影が危うくなることさえあった。彼は映画スターだから自意識が高いんだ。」と言い、「この映画は何の共通点もない2人が突然、迷路のような世界で一緒になる。ビルの地下に閉じ込められるんだ。突然、彼らが遭遇するのはあちこちで交差する廊下の数々だ。それらは色を覗いてどこも似ていて人間味のない世界だが、当時は”金が全て”の時代が近づいていた。ある意味でこれがこの映画のテーマだが、忘れられがちだ。サスペンスの面白さはテーマの本質に勝ってしまうからね。とにかく私は本作で売れっ子になった。だが同時に心の奥では監督をやる気が消えていった作品でもある。私はスーパースターと映画を作るのに向いていなかったからね。」と答えている。
作品としては、本作が代表作のジャン・エルマンのサスペンス映画で、アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンというフランスとアメリカの映画スター共演が話題となった作品だ。フランスの小説家セバスチアン・ジャプリゾの原作を映画化している。煙草をくわえ歩くチャールズに、さっとアラン・ドロンがマッチを差し出し火を付けるシーンと、その後の「yeah!!」という叫びからのエンドクレジットが、とにかく圧倒的に有名な作品だろう。決して完璧な映画とは言えないが、男同士の友情をシンプルに描いた佳作だと思う。アラン・ドロンさんのご冥福をお祈り申し上げます。
監督:ジャン・エルマン
出演:アラン・ドロン、チャールズ・ブロンソン、オルガ=ジョルジュ・ピコ
日本公開:1968年