映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は528本目。タイトルはロバート・ロドリゲス監督による、2023年公開作品「ドミノ」。特典映像としては、「インタビュー集:監督 ロバート・ロドリゲス/ベン・アフレック/アリシー・ブラガ/ウィリアム・フィクナー/ダイオ・オケニイ」「撮影風景」「予告編集(本予告/特報)」で計43分が収録されている。「インタビュー集」では、監督のロバート・ロドリゲスが「2002年にヒッチコックの『めまい』を観た事で脚本を書き始めたんだ。名監督である彼の大ファンだからね。ひねりの利いたスリラー作品を自分でも作りたくなった。そこでまずタイトルを考えたよ。『めまい』『白い恐怖』『サイコ』など、ヒッチコックが付けそうなタイトルはどんなものかを考えて、”催眠術(ヒプノティック)”が思い浮かんだ。いいタイトルだと思ったよ。それから物語の軸として、欲しいものを何でも奪って立ち去っていく、”存在”を感じさせない悪役を思いつき、脚本を練り上げ多くの仕掛けを仕込んだんだ。2002年から始めてようやく完成したね。観客には何が現実か分からない、『間違えられた男』みたいな物語が面白いと思う。」と言い「ベン・アフレック演じるロークは刑事で、ウィリアム・フィクナー演じるデルレーンを追っている。銀行強盗を起こし、忽然と姿を消した男だ。デルレーンは追われるだけでなく、行方不明の娘の写真を持っているからロークは彼がカギだと考えて”いたちごっこ”が最後まで続くんだ。ヒッチコック映画の要は配役だ。ケイリー・グラントやジェームズ・スチュワート、グレイス・ケリーにイングリッド・バーグマンなんかのね。だからスーパースターを配役したかった。ベン・アフレックは映画にヒッチコック的な神秘性を与えてくれたよ。彼のスター性と存在感によって、ヒッチコック映画を撮っている気分になった。彼もやる気満々で現場にやってきたしね。最高の俳優でこの役を見事に演じたよ。」と語っている。
さらに「本作はトラベル・メーカー・スタジオで撮影している。最高の施設だよ。ここ一か所でほとんど撮影できるしね。ロケ撮影の日はほとんどなくて、エレベーターやオフィスなどスタジオの至る所で撮影した。『アリータ』のセットの再活用もしているよ。このスタジオを活用すると、数千万ドルも節約できるんだ。そのおかげもあって、ヒッチコック映画に匹敵する作品を作れる。劇場公開が決まっていたから、大画面向け映画の製作に興奮したよ。リピートを生む作品で、内容に驚いた観客は何度も映画館に足を運び他の人を誘いたくなる。驚きとショックを共有する体験だね。シリーズものを作れるくらいの大きなコンセプトの作品になったよ。まさに映画製作は、観客を暗い部屋に入れて催眠術をかける。映像を現実だと信じ込ませて、視覚で物語を伝えたいんだよ。」と答えている。
作品としては、「デスペラード」「フロム・ダスク・ティル・ドーン」「アリータ バトル・エンジェル」などのロバート・ロドリゲス監督が手掛けたSFサスペンスで、「ゴーン・ガール」「ザ・コンサルタント」などのベン・アフレックとは初タッグを組んでいる。今作のロバート・ロドリゲスはアルフレッド・ヒッチコックの作風を強く意識したらしい。ジャンルはサスペンスなのだが、どちらかといえばB級感のあるウェルメイドな映画で、ロドリゲス監督らしさが炸裂している。ただ”構想20年”や”どんでん返しの連鎖”など大仰なキャッチコピーの作品だが、過度な期待をしすぎるとガッカリさせられるだろう。94分というタイトな上映時間や監督の映画愛を感じるという意味で、”愛すべき小品”という感想の一本だ。
監督:ロバート・ロドリゲス
出演:ベン・アフレック、ウィリアム・フィクトナー、アリシー・ブラガ、ダイオ・オケニイ
日本公開:2023年