映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は533本目。タイトルはクリント・イーストウッド監督による、1976年日本公開作品「アウトロー」。特典映像としては、「イーストウッド・ウエスタン」「メイキング」「ドキュメンタリー」「オリジナル劇場予告編」で計68分が収録されている。「メイキング」では、監督のクリント・イーストウッドが「伝えたい物語があれば最善を尽くして映画化にこぎつけるよ。70年代ハリウッドでは西部劇は下火だったんだ。でも僕にとっては機が熟していた。事務所に本が送られてきて2週間ほどほったらかしにしてたが、読んだら虜になってすぐに撮りたいと思ったんだ。この本で感心したのは戦争の描き方だった。戦場だけでなく周囲にまで死をもたらす、戦争のむなしさを巧みに表現していたんだよ。南北戦争というのは特異な戦いだ。アメリカ人同士が初めて戦った戦争で出身地によってのみ、どちらに付くのかが決まったんだからね。僕はマカロニ・ウエスタンを観ながら育った。イタリア流西部劇は娯楽性が高くて、ドラマの緊迫感を追求し現実離れしているんだ。僕が演じたジョージ―は妻と子供を失ってしまったが、旅を続ける途上で疑似家族を築いていく。先住民の老人や犬を受け入れるが、決して積極的ではない。戦争が招いた不幸で心を閉ざしているからね。しかし時を経るにつれてみんなと協調していく。皆、悲運を背負ってきているからだ。」と語っている。
また「先住民を題材として取り上げるときに、今までは決まって”真面目で面白みがない”と類型的に描いてきてたが、この物語では彼らを愉快で魅力的にしたよ。作品によってはスタッフや役者の争いが絶えないこともあるが、この映画の現場では皆が円満に働けたね。アクションシーンの演出は構想を十分に練っておいて、あとはカンで動く。役者の演出で肝心なのは干渉しすぎないことだ。高齢の役者が大量にいてセリフがうまく言えないこともあったが、彼らを応援するうちにセリフを暗唱していたね。助監督に”監督の口まで一緒に動いてます”と言われたよ。僕自身の役を忘れて夢中になっていたんだ。過去に手掛けた作品の中でも、この映画はとりわけ印象が深い。観客からも好評だが、懐かしさを覚えるのだろうね。『許されざる者』よりも評判が良いくらいで、お気に入りの一本だとよく言われるよ。」と答えている。
作品としては、「許されざる者」「ミリオンダラー・ベイビー」「アメリカン・スナイパー」「ハドソン川の奇跡」など、今もコンスタントに作品を発表している、アメリカを代表する映画俳優/監督のクリント・イーストウッドが手掛けた西部劇。アメリカ合衆国建国200周年記念映画でイーストウッド監督の長編第5作でもある。音楽を手掛けたジェリー・フィールディングは、第49回アカデミー賞の作曲賞にノミネートされた。ちなみにローラ役で出演しているソンドラ・ロックとは、本作の撮影中にイーストウッドと交際をはじめ、その後12年の間一緒に暮らした女優としても有名で、「ガントレット」「ブロンコ・ビリー」などのイーストウッド映画に多く出演している。アメリカ南北戦争後を舞台として描かれた作品で、先住民や女性たちと”疑似家族”を築きながら家長として生きていくガンマンという設定は、いかにもイーストウッド映画らしく、登場人物たちに感情移入できる。今観てもシンプルに面白い西部劇だろう。
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、チーフ・ダン・ジョージ、ソンドラ・ロック、サム・ボトムズ
日本公開:1976年