映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は534本目。タイトルはエイミー・ヘッカリング監督による、1982年日本公開作品「初体験 リッジモント・ハイ」。特典映像としては「メイキング映像」「予告編」で計41分が収録されており、映画誌「スクリーン」の掲載記事を凝縮した8Pオリジナルブックレットもパッケージ封入されている。「メイキング映像」」では、エイミー・ヘッカリング監督が「この映画のテーマは”時の流れは早すぎる”ということ。彼らは子供のうちから仕事やセックス、麻薬などあらゆるプレッシャーにさらされてしまう。少女の顔と大人の女の顔を持つ女の子は多いわ。そして俳優ジェニファー・ジェイソン・リーは幼気で彼女が妊娠したり傷つくと、観ている者の心が痛む。”まだ子供なのにどうなってる?”と思わせるの。だからステイシー役には彼女以外は考えられなかった。フィービー・ケイツは当時から男性に大ウケだった。レンタルビデオだと彼女がビキニのブラを脱ぐシーン辺りになると、一時停止のしすぎで画像が乱れたらしいわ。美少女ではち切れんばかりの若さに溢れていて、あどけなさを残しながら全て経験済みの女子高生を上手く演じていた。」と言い、「脚本のキャメロン・クロウは大好きでよく遊んだ。情報力が違うから、いつも側にいてほしかったの。人間に対する洞察も深くて表面的な事象ではなく、そこに至った過去のいきさつを重要視した。例えばよその町から来た者はどういう行動を起こすのか?とかね。一緒にいて大きな刺激を受けたわ。当時はどの映画にも性描写やドラッグが普通に登場した。60年代の洗礼を通過して次の段階へ入っていたのよ。観客は『イージー・ライダー』を観てるから慣れっこだったのね。でもコカインや新しいタイプのドラッグ、性病がはびこり始めて世の中の流れが変わってきた。一つの時代の断末魔の叫びのような映画ね。私にとっては初めてのキスのように特別な人生体験だったわ。昔のことなのに感激を忘れられないの。」と語っている。
またプロデューサーのアート・リンソンは「映画会社は公開前、この映画が間違いなく大ハズレすると確信していた。成人映画になりかけたし、東部での公開は直前になって中止されたしね。400館での公開を止めてまで宣伝費を削ったんだ。そのくらい彼らは失敗を信じ込んでいた。この青春映画がR15指定を受けた理由は、マスターベーション、中絶、麻薬、過激な言葉遣いなどが原因だった。『アメリカン・グラフィティ』が最初は反感を買ったように、この映画も最初は嫌われたんだね。だけど会社の判断に反して実際には、17歳以下の子供たちに大ウケしたんだよ。監督のエイミーのガッツには頭が下がるよ。大胆な場面にもひるまずに取り組んでくれたからね。セックスシーンや自慰シーン、フィービー・ケイツのヌード、ショーン・ペンのラリった表現など、映画で描くには勇気のいる内容だったよ。キャメロンの脚本は表面の滑稽さにつられて誤解を受けるが、根底にあるのは鋭い真実だ。だから作品の息も長い。20年経った今観ても、本作の痛烈な味は損なわれていないんだ。」と答えている。
作品としては、原作/脚本を「あの頃ペニー・レインと」「バニラ・スカイ」などのキャメロン・クロウ、監督を「ベイビー・トーク」「クルーレス」のエイミー・ヘッカリングが担当した、ドタバタ学園コメディ。ショーン・ペン、ジェニファー・ジェイソン・リー、フィービー・ケイツ、フォレスト・ウィテカーなど当時は無名だが有名になっていった俳優を多く輩出した作品としても有名で、若きニコラス・ケイジも一瞬だけ出演している。お色気ありの典型的アメリカ学園モノ元祖のような作品で、まさに80年代の牧歌的な雰囲気が味わえる映画だ。日本でも大人気だったフィービー・ケイツ推しの作品として紹介される事が多いが、キャメロン・クロウ脚本の源流が感じられる”学園コメディ映画”の佳作だと思う。
監督:エイミー・ヘッカリング
出演:ショーン・ペン、ジェニファー・ジェイソン・リー、フィービー・ケイツ、フォレスト・ウィテカー、エリック・ストルツ
日本公開:1982年